ここでは、出前館について、
投資の参考にできる情報とポイントを紹介します
2022.10.14本決算更新
この銘柄は資本関係を中心に難しい点があるため書くのを悩みましたが、僕の投資の主力株の1つで書かないわけにはいかないので書くことにしました
あとで詳しく書きますが、この銘柄はリスクが高めであることは承知したうえで読み進めてください
目次
ココが投資ポイント
出前館についての投資ポイントです
- 登録配達員数:158%
アクティブユーザー数:19%
オーダー数:43%
流通取引総額:35%
と前期比で成長を継続、加盟店数は10万店舗突破 - 損失は拡大傾向から改善、先行投資のピークアウトが期待され、今後は拡大路線からユーザー満足度向上へ転換
- デリバリー業界はシェアと規模の争奪の生き残りが終盤
- 資本力が大きな魅力(ZHDグループ)
- ZHDおよびNAVERから多額の追加出資が出前館へ賭ける意思が見て取れる
- ZHDグループ全体のシナジーとしてPayPayおよびLINE、Yahoo!JAPAN、ASKUL、ZOZOなどとのフードに限定しないデリバリー拡大への可能性と横の連携の充実
- ZHDはSBの子会社であり、携帯事業も含めた連携が可能
- グループ外でもデリバリーに関する提携を拡大中
- ZHDの親会社はAホールディングス(SBと韓国企業NAVER(元々はLINEの親会社)が50%ずつ出資をする会社)であり、SBとNAVER2社の影響を色濃く受ける
- 過去5年間で株価が5倍前後になる上昇が2度発生
- 2022.8期本決算実績:
売上高:473億円(前期比+63.4%)
※ただし、会計基準の相違により実際の伸び率は高い
比較すべき旧基準による売上高:567億円、前期比:+96% - 営業利益:▲364億円(前期▲191億円)と損失拡大も拡大幅は第3Qから縮小へ転換
SB:ソフトバンク、SBG:ソフトバンクグループ
ZHD:Zホールディングス(Yahoo!JAPAN、LINE、PayPayなどの親会社)
数値は㈱出前館公表「22.8期 第3四半期 決算説明会資料」他参照
グループ外の主な提携:セブンイレブン、ローソン、セイノーホールディングス、地方銀行および信用金庫など
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
出前館に関する投資ポイントを大きな視点でまとめると以下の2点に集約されます
- フードを中心としたデリバリー業界で生き残れるか否か
- ソフトバンクとNAVERの2社が意思決定権をもつ難しさと資本関係の複雑さ
ということで、
今後淘汰されるであろうデリバリー業界で生き残って大きな利益を獲得できるまでに成長できるか、
それまでに経営環境で揉めたりするようなことがないかが大きなカギと言えます
視点①デリバリー業界での生き残れるか否か
生き残れれば大きな利益を得られ株価の上昇につながる可能性が高い
一方、負ければ撤退すなわち株価の暴落や廃業による紙切れとなる可能性まであります
この点がまずリスクもリターンも高いと言わざるを得ない点です
フードデリバリーが先行している他の国での事例も踏まえ、大手として生き残ることができるのは2,3社程度と言われることが多いです
Uber Eatsも高いシェアがない国から撤退、日本ではdデリバリー、DiDifood、foodpandaが撤退、楽天ぐるなびデリバリーも2022年7月24日にサービス終了となっています
woltはDoorDashが買収され、日本ではDoorDashを終了してwoltに集約されました
競争による淘汰が進み、生き残りがしぼられてきました
現在の国内で残っている主なところでは、Uber Eatsと出前館、wolt、menuの4社で、規模の大きさやバックボーンから有力視されています
海外実績はUber Eatsやwolt(DoorDash含む)、国内のグループ力では出前館、menu(KDDIが資本参加)
という色分けがわかりやすいです
Uber Eatsが生き残りの有力で先駆者としてリーディングカンパニーですが、
出前館も規模ではUber Eatsを猛追しています
規模ではmenuやwoltとは今のところ大きな規模とシェアに大きな差があり、2強状態です
上記からもデリバリー業界の生き残り競争も淘汰が進み、終盤に差し掛かっていると言えます
フード以外とのグループ内外の連携を考慮すると、出前館が生き残る可能性が高いです
特にZHDを含むSBGのグループ企業であることから、信頼性が高く、幅広い業種で多くの企業との提携を増やしています
そして、ZHDおよびNAVERが多額の追加出資し、出前館を生き残す意思を感じます
出前館もこの手厚い資金を使って、
黒字化よりもまずは規模とシェア拡大で確固たる地位を築くことを経営方針としていることを経営トップが発信、
直近の売上高の急増がこの経営方針を示しています
そして、売上高の伸びとともに経営方針通りに確固たる地位を築きつつあります
視点②2社が意思決定権をもつ難しさと資本関係の複雑さ
出前館およびZHDグループ全体の資本関係が複雑なことが今後の懸念点です
資本関係:要はどの会社グループに属するかと考えてください
なぜか?
海外で合弁会社の経営が互いの経営方針が合わず、うまくいかない事例が多いためです
合弁会社:2社(者)以上が共同出資して設立された会社
また、出資参加している企業が撤退して親会社が変わる、会社の方針が急に変わるなんてこともよく起きています
次にこのことを意識したうえで出前館を取り巻く資本関係を見ていきましょう
出前館資本関係-1
もうこれを見ただけで資本関係が複雑怪奇で理解使用するのが嫌になる
もしややこしければ、この項目の最後のところだけ読んでください
では、気を取り直して・・・
まず、図の通り出前館はZHDのグループ会社です
そして、ZHDの60%以上を持つ親会社がAホールディングス
次にAホールディングスはSBとNAVERが50%ずつ出資する会社です
要は資本関係上、ZHDはSBとNAVERとの共同経営会社と言えます
親子ではZHDはSB(すなわちSBG)の子会社扱いです
しかし、資本関係で言えば共同経営です
そして、図表をよく見ていただくと出前館はNAVERおよびNAVERが90%保有する未来fund投資事業組合から20%超を出資しています
これにZHDグループ全体での出資は約37%、その半分もNAVERが持つと考えれば、
資本関係上、SBよりNAVERが出前館の主導権を取れる状況だということです
もし、経営方針ですれ違いがあった場合、ZHDも出前館も面倒なことになります
経営が立ち行かなくなる可能性も少なからずあり、これは小さな問題とは言えません
補足①2022年本決算に基づく追記
まず2022年8月本決算の実績数値を掲載します 単位:億円(前期比%)
当期/前期
売上高:473億円(+63.4%)/ 289(+180.7%)
※ただし、2022.5期から新たな会計基準の適用により、見た目上の売上高は減少
旧会計基準での売上高
売上高:567億円(+96.0%)/ 289(+180.7%)
営業利益:▲364(-)/ ▲191(-)
経常利益:▲365(-)/ ▲191(-)
四半期利益:▲362(-)/ ▲218(-)
さて、これを見てあなたはどう思われますか?
単純比較だと売上も伸びているけど、成長率は下がっている
また、売上は伸びているのに損失は大幅に膨れ上がっている
これはダメでしょ!?
となりそうですよね
そこで、もう少しこの内容を詳しく見ていきます
まずは売上高について
旧基準ベースで比較しても、2022.8期の成長率が+96%、前期が+180%のため、成長スピードは鈍化してきてはいます
一方、会社の2022.8期の営業損失▲364億円と当初計画よりも大幅に圧縮して着地となりました
これはGMV(流通取引総額)計画が3,300億円→2,201億円へ縮小し、その分販促/広告費を圧縮したことによります
では、なぜこれだけの売上が伸びているのに営業損失が拡大しているのか?
投資のポイントにも書きましたが、オーダー数、提携店舗数、配達員数のいずれもを大きく伸ばすことに多額の投資をしているからです
これはデリバリー業界での生き残り競争を勝ち残るためです
そのため今は小さな利益を出すことよりもシェアと規模拡大にアクセルを全開してきました
しかし、2022.8期第3Q損から失拡大額が減少に転じました
理由はさきほどの通り、規模の目標を下げ、その分投入する販促/広告費用を圧縮したことによります
これは生き残り競争が終盤になってきており、そこまで無理な先行投資が必要なくなってきたと個人的にはとらえています
出前館の決算説明会資料では、
本決算 当期/前期 (前期比%)
・流通総額:2,201億円(+35%)/ 1,627億円(+58%)
・オーダー数:8,603万件(+43%)/ 6,035万件(+63%)
・アクティブユーザー数:873万人(+19%)/ 734万人(+123%)
・配達員数:前期比158%増
・アプリダウンロード数:1位、DAUマーケットシェア:48%
※DAU:Daily Active Users/1日のうちアプリをアクティブに利用しているユーザーの数
いずれも前期の成長率からは鈍化しているものの、成長を継続しており、生き残り競争においてもUber Eatsを追い抜く勢いで1位を獲得しています
また、数値以外でもローソンなどとの外部との提携、多角化(アスクルなどフード以外の取扱いの拡大)も功を奏しています
そして費用は「広告宣伝費」、「配達手数料」、「システム開発費」などです
これは業績が悪いから損失ではなく、積極的な投資の結果の損失です
気になる点としては、
アクティブユーザー数が2022.8期第3Q:878万人から第4Q:873万人にかけて減少していることです
また、各数値も拡大路線からの転換とはいえ、伸び率の落ち込み方が大きい点は気になるところです
補足②2023.8期以降の展望
2023.8期業績について会社計画では、
GMV(流通取引総額):2,310~2,420億円(+5~10%)
売上高:580~620億円(+23~31%)
営業利益:▲210~▲190億円
と公表されています
この事業規模になったことで、大きな成長を目指しにくく、事業基盤を強化して、将来的な黒字化を目指す段階にきていると言えます
個人的にはもう少し損失の圧縮を期待していましたが、四季報の予想が正解でした
投資を圧縮していくとはいえ、2023.8期はまだ投資先行の期になるということが示されています
また、中期目標として、
2025.8期で黒字化の達成が計画されています
そのために、
- 商品単価の向上
- 配達員報酬の適正化
- 広告宣伝費の効率化
が挙げられています
1つ目と2つ目により、売上高総利益率を大きく改善させ、効率的な広告宣伝費の使用による、販管費の圧縮と黒字化にはいずれも必達の項目です
成長を継続しつつ、これらがどの程度改善されていくかは、今の段階では読めず、今後に注目していくほかありません
黒字化が達成できるかには、まだ懸念がある段階です
投資する際は、リスクを十分に理解したうえで行ってください
また、何か動きがあれば順次更新していく予定です
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:2484/㈱出前館
設立年/上場年/上場市場:1999年/2006年/スタンダード
業種コード/業種:5250/情報・通信業
決算月:8月
事業内容:インターネットサイト「出前館」の運営及び飲食類を中心とした配達代行業が主力
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.8(会社予想):58,000~62,000(62.3)/▲21,000~▲19,000(-)
- 22.8:47,314(63.4)/▲36,442(-)/▲36,595(-)/▲36,218(-)
- 21.8:28,954(80.7)/▲19,157(-)/▲19,148(-)/▲21,869(-)
- 20.8:10,315(54.7)/▲2,687(-)/▲2,984(-)/▲4,176(-)
- 19.8:6,666(22.7)/▲39(-)/▲7(-)/▲103(-)
- 18.8:5,430(9.8)/837(4.6)/849(6.4)/558(29.1)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
もし、失敗してもそれが経験になり将来につながる投資になればと思います
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも私個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください