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【投資ポイント】3563 FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)

ここでは、FOOD & LIFE COMPANIES(以下、FLC社)について、

投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します

回転ずしのスシローを主力事業とする会社です

各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです

2022.11.4本決算更新

目次

ココが投資ポイント

 FLC社についての投資ポイントです

  1. 国内外にて回転ずし「スシロー」を展開する、回転ずしチェーン首位
  2. 「スシロー」以外には、買収した「京樽」、「みさき」、「杉玉」などを運営
  3. 店舗数:合計1,083店舗(2022.9期末)
    スシロー731(国内644、海外87)
    京樽157
    みさき/三崎丸103
    杉玉67
    その他25
  4. 海外店舗数60程度で黒字化達成、現在は87店舗と順調に増加、1店舗当たりの売上高も国内を大きく上回る
  5. 2015年以降は、売上高・営業利益がコロナの影響を大きく受けた2020.9期を除き、2021.9期までは増収増益と好調
  6. 2022.9期本決算実績:
    売上高:2,813(16.8)
    営業利益:101(▲55.8)
    純利益:36(▲72.6)
    単位:億円(前年同期比%)
    事前の下方修正した業績計画は上回る
  7. 2023.9期計画
    売上高:3,200(13.8)
    営業利益:110(8.7)
    純利益:60(66.4)
  8. 様々な不祥事なども尾を引き、2022年7月以降の売上高は前年同月比で減少が続く
  9. 2022.10より値上げ実施

これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・

投資ポイントの視点

  • 海外での成功、成長がどこまで伸びるか

この1点に絞った投資をオススメします

視点:海外での成功、成長がどこまで伸びるか

海外での成功については2022.9期1Qで「黒字化」、第3Q以降は売上高・営業利益ともに伸びていることにより、第一段階としては達成したと言えます

2021.9期末59店舗から2022.9期末で87店舗まで順調に増加しています

現在は、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、中国大陸へ出店しており、

今後は出店した国ごとでの黒字化と未出店地域(特に欧米)への出店がポイントです

海外では、日本のように安価で美味しい寿司が食べられるお店は、ほとんどないと言っていい状況です

ローコストオペレーションによる、安価で美味しい寿司を提供できれば、成功できる可能性は高いと見ています

さらに海外で最も人気のある日本食「寿司」を事業にしている点で、マクドナルドやスターバックスのように、世界展開で成功する要素を十分に秘めています

※世界展開での成功のポイント:マクドナルドやスターバックスの例
世界中で親しまれている(ハンバーガー、カフェ)
日常的に利用している、できる(同上)
飽きがなくリピート頻度が高い(同上)
どこの地域でも品質を一定以上に保つことができる(同上)
ブランドイメージ

これらに「寿司」、スシローも多くの部分で当てはまること

加えて「回転寿司」は日本の大手チェーン数社以外には、簡単にはマネできないビジネスモデルであること

現在のアジア圏出店の店舗では、国内同様に行列ができている店も増えてきているそうです

現在でも1店舗当たりの売上高はすでに海外が国内を上回っています(円貨ベース)

EBITDAも海外は2022.9期で前期比546.4%増、第2Qは落ち込みましたが第3Q以降は復調し、キャッシュ創出力も驚異的な伸びを示しています

EBITDA:Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略
税前利益から支払利息や償却費などを除いた営業利益ベースのキャッシュ創出力を表す指標

第2Qでの海外収益の悪化は、コロナウイルス感染の再拡大というスポット的要因、第3Q以降は成長路線に戻っているため、将来予測の点では特に懸念する点ではありません

また、世界展開の足掛かりの1つとして、ドバイ万博にも店舗を出店しました

ここでは日本の数倍の価格で提供、これは実際に現地で店舗を長期運営で利益を出すための価格設定だそうです

欧米にも出店ができればドバイ同様、日本よりも寿司単価を高く設定でき、利益率は国内店舗を大きく上回ることも可能です

ただし、注意すべき点は、その地域でローコストオペレーションが成立するだけの基盤が必要だということです

黒字化するまでには店舗数も必要となり、それを支える経験を積んだ人材も必要です

海外は儲かりそうだからどんどん出店!というわけにはいかず、着実に1つ1つの地域で成功を収め、新たな地域へ出店していくという地道な努力も必要です

補足①国内の状況

投資のポイントを海外展開の成功と成長に絞ったことで、国内の成長性をあまり見込まなくてよいと考えます

国内は海外で成長をしていくための基盤という位置づけで、業績を落とさずに安定的に稼ぐことができるかどうかがポイントです

コロナ禍だった2020.9期は大きく業績が落ち込みましたが、それでも赤字にならず、ある程度は稼ぎ出せています

2022.9年1~3月のまん延防止等重点措置や物価高騰、景品表示法の違反などによる顧客離れの影響が大きかったとみられ、

2022.9期第3Qは大幅な減益(前年同期比)、通期計画も2度目の大幅な下方修正の公表にまで追い込まれました

2022年7月以降は売上高が前年同月比割れを継続しており、値上げをした2022年10月は15%近い落ち込みとなっており、厳しい状況が続いています

1年以内に回復する短期的な影響とは見ていますが、一度顧客が離れると戻ってくるにも時間を要するかもしれないため、

2023.9期も上期は、厳しい状況が続く可能性が高いです

ただし、現在の状況が1,2年続いたとしても、あくまで長期投資の視点からは、特に問題ないとの判断です

補足②2022.9期通期予想の2度の大幅な下方修正と実績

2022.9期の業績は、2度の業績下方修正などもあり、当初計画に対する実績は

・売上高:▲287億円(▲9.3%)
・営業利益:▲108億円(▲51.8%)
・当期利益:▲84億円(▲69.9%)

と大幅な減益となりました

要因を見ていくと、

不振要因
国内スシローの営業利益の大幅な減少(前年同期比▲47.1%)
・度重なる新型コロナウイルス感染者の急増
・全体的に原材料費などの高騰
景品表示法違反等による客離れ、2022年7月以降は前年同月比で売上減少が続く
・買収した京樽の営業損失25.5億円と損失拡大継続
・減損損失:68.2億円
・投資先の評価損:20億円

減損損失:会計処理の1つ
将来生み出せる金額が現在の資産金額を下回った場合にその差額を損失として計上する

国内は、コロナウイルスの感染再拡大と原価高騰、景品表示法の違反等の影響を大きく受けた結果とも言えます

一方、海外事業は第3Q以降で大きく売上を伸ばし、利益も積み増せていることから、コロナウイルスの影響さえ下火になれば、大きく飛躍することが期待できます

2022.9期は減損や評価損による大幅な利益減少が重しとなっており、2023.9期も増収増益計画となっていますが、以前の業績水準から比較してまだ厳しい状況が続きそうです

ただし、将来的には海外の展開加速によって、再成長できる期待は大きいと見ています

補足③:値上げの業績への影響

スシローの値上げについての2022.5.9にFLC社から発表がありました

2022.10.1から価格が改定されています

  • 黄皿:110円→120円
  • 赤皿:165円→180円
  • 黒皿:330円→360円
    ※上記は郊外型店舗の値上げ例

投資家として気になるのは、これにより「業績がどうなるか」、「株価がどうなるか」です

業績面ですが、FLC社は9月が決算月のため、2022.9期には値上げの直接的な影響はありません

そのため、FLC社からも原料高等による大幅な減益予想を出しています

影響は2023.9期からになります

2022年10月は、値上げ初月ということもあって、売上高▲14.6%と前年同月比で大きく落ち込みました

昨今の値上げは原料高など企業努力では吸収し切れないほど利益を圧迫するほどであり、うれしくはないが受け入れざるを得ないという印象です

ただし、ブランド力や低価格路線か高級路線かによっても影響が大きく変わります

スシローはブランド力はありましたが、不祥事続きで現在は厳しい状況です

また、低価格路線の事業モデルであることも値上げが大きなインパクトを与え、マイナス要因が大きいと見込まれます

2023.9期での業績回復は会社計画の通り一定程度は期待できますが、値上げに対する原価率の上昇がどのくらいかは今後注視していく必要があります

単純に、値上げ → 業績向上 → 株価の長期的上昇 と考えることには注意が必要です

現在の株価は割高?割安?

現在は業績や風評を大きく落としてしまっており、割高/安の判断ができる状況ではありません

ここからは個人的見解としてですが、

海外の将来的な成長を見込めば、現在の株価は割安と見ています

それはすでに書いたように、海外での店舗展開を成功させ始めており、世界展開も視野に入れば大きな成長につながるためです

決算が発表された本日も発表直後は大きく下落しましたが、終値ではほぼ前日水準までは戻してきました

今後は株価推移から十分に下がり切ったと確認できるポイントで買いに入れば、中長期的には大きな利益を得ることができる可能性が高くなると予想しています

また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

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会社概要

証券コード/銘柄名:3563/㈱FOOD & LIFE COMPANIES

設立年/上場年/上場市場:2015年(創業:1984年)/2017年/プライム

業種コード/業種:6100/小売

決算月:9月

事業内容:「スシロー」を国内外へ展開し、回転ずし首位。海外への展開積極的。他に「京樽」など運営。

売上高/営業利益/税前利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円

  • 23.9(会社予想):320,000(13.8)/11,000(8.7)/9,500(25.6)/6,000(66.4)
  • 22.9:281,301(16.8)/10,123(▲55.8)/7,564(▲65.0)/3,607(▲72.6)
  • 21.9:240,804(17.5)/22,901(89.9)/21,584(104.9)/13,185(104.2)
  • 20.9:204,957(2.9)/12,061(▲17.1)/10,536(▲26.6)/6,457(▲35.2)
  • 19.9:199,088(13.8)/14,546(24.1)/14,363(24.8)/9,959(24.6)
  • 18.9:174,883(11.8)/11,718(27.3)/11,508(27.9)/7,991(14.9)

最後に

僕は日本の個別株への投資をメインにしています

また、その中でも成長性の高い株です

そのため比較的リスクは高めなものが中心です

これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています

その中で自分なりに分析して勝負する

時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、

そして、利益を積み上げることができたと思っています

投資はどうしても自己責任を伴うものです

どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです

なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです

ここまで読んでいただいてありがとうございます

一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!

注意事項

※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください

記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです

そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません

また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください

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