ここではメディカルネットについて、
投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します
各所に記載している数値は2022年10月執筆現在のものです
2022.10.14決算更新
目次
ココが投資ポイント
メディカルネットについての投資ポイントです
- 歯科医療分野でメディア・プラットフォーム事業を主力に医療機関経営支援事業、医療BtoB事業の3事業を展開
- メディア・プラットフォーム事業と医療機関経営支援事業がフロー型からストック型収益への積上式の収益形態
- 売上高では医療機関経営支援事業の比率が高く、医療BtoB事業が成長中
- 歯科医療従事者の会員登録数は46,645人(2022年5月時点)
- 歯科医師の会員数は2万人程度、2025.5期計画では約8万人/10万人で8割の登録を目標
- 近年は積極的にM&Aを行っており、成長加速として今後もM&Aを活用
- タイで歯科医院を運営、海外事業でもM&Aも活用にて拡大中
- 2022.5期の当期利益は、特別利益に「負ののれん発生益」82百万円計上により大幅増益
- 2023.5期計画は増収も大幅な減益計画
売上高:45億円(+20.1%)
営業利益:3.2億円(▲28.9%)
当期純利益:1.9億円(▲50.7%) - 2023.5期1Q実績:
売上高:971(+20.9%)
営業利益:92(▲7.5%)
当期純利益:57(▲60.9%)
単位:百万円(前年同期比%) - 業績が好調な場合は4Qのみ利益が落ちる
投資ポイントの中で注目すべき視点の説明の前に、メディカルネットの事業を簡単に説明します
事業内容
主力3事業がどんなものか見ていきます
1つ目は「メディア・プラットフォーム事業」です
具体的には、インプラントや歯列矯正などの個別のサイトや歯科医院の検索サイト、求人サイトなど歯科医療のプラットフォームを運営しています
これ以外にポータルサイトからの各登録者に合わせた情報の発信を行っています
主な収益源は歯科医院などとの契約により、このプラットフォームへの登録や掲載、広告掲出などを通じた広告収入で、サブスク型(ストック型)の収益形態となっています
次に「医療機関経営支援事業」です
Web作成やSEO対策などのWebマーケティングなどのサービスを提供し、この事業もサブスク型(ストック型)の収益形態です
この他にも開業支援や医療器材の導入、人材紹介、歯科医院のデザイン・施工の対応など、歯科医院の経営に関するトータルサービスを提供、歯科商社や医薬品・医薬部外品の製造・販売も子会社で展開
この部分は基本的にスポットであるためフロー型収益ですが、これを入口に上記のストック型へつなげていきます
あと、まだ規模は小さいですが、タイで歯科医院の経営も行う
最後は「医療BtoB事業」です
歯科医療従事者への有益な情報の発信と歯科関連企業、製薬会社のマーケティングを支援するプラットフォーム「Dentave.com」を運営
歯科関連企業や製薬会社からの広告収入および手数料が主な収益源となります
以上が、メディカルネットの主力3事業の簡単な説明になります
では、投資ポイントの視点について見ていきます
投資ポイントの視点
- 競合の少ない市場にポジショニング
- ビジネスモデルと財務・業績
- 今後の成長戦略
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①競合の少ない市場にポジショニング
メディカルネットのプラットフォームは歯科医療分野に特化しており、紹介したようなプラットフォームを同程度以上の規模で運営できている企業はごく少数です
Googleで「歯科 プラットフォーム」で検索すると、一番目にはメディカルネットのWebサイトが出てきます
他では、WHITE CROSS㈱の歯科医師の登録者数約4万人を擁するWebサイトが競合相手となるくらいです
市場がニッチでもあるため、現時点で存在するプラットフォーム以外に、急成長してくる新たなプラットフォームの出現の可能性は低いと見ています
医療機関経営支援のサービスも、歯科医院に特化したところはあまり見受けられません
経営支援も少し携わったことがありますが、業界毎に独特の課題や特徴があり、この点も特化型が優位性を発揮できるポイントです
医療BtoB事業は、対象が製薬企業や医療機器メーカーなどが収益の対象であり、プラットフォームの登録者数によるところが大きくなります
この点は、メディカルネットでは歯科医師の登録者数が約2万人、上記のWHITE CROSS㈱のプラットフォームと比較して半分に満たない規模で、後塵を拝してしまっています
2025.5期で歯科医師の登録者数約8万人、全体10万人規模の8割を目指すとの野心的な目標が掲げられています
3年で現在の4倍という数もさることながら、歯科医師へのプラットフォームとしてWHITE CROSS㈱が大きく先行している点も、目標達成に厳しいものを感じています
ただし、上記の通りに競合が少ないニッチ市場にポジショニングするビジネスモデルで展開できていることは魅力です
視点②ビジネスモデルと財務・業績
ビジネスモデルとしては大きく2つにわけることができます
1つ目は、ストック型ビジネスの形態です
メディア・プラットフォーム事業と医療機関経営支援事業のうちの主要部分は、継続契約がベースとなるストック型ビジネスです
メディア・プラットフォーム事業は歯科医院などからの広告収入がメインです
医療機関経営支援事業のうち会員などの入口部分は、開院支援やWeb制作などのスポットで発生するフロー収益ですが、そこからWebの改修やSEO対策などのWebマーケティングは定期的に発生するストック型ビジネスへの移行という形になります
2つ目は、製品販売などのスポット発生のビジネス形態です
ここ数年でグループ化した、ノーエチ薬品㈱にて医薬品・医薬部外品の製造販売(医療機関経営支援事業)、㈱オカムラが歯科器材などの商社として卸売業を展開しています
また、医療BtoB事業では製薬会社や歯科機器企業などからプラットフォームを通じて広告収入などを得る形式です
この医療BtoB事業はスポット発生のビジネス形態ではありますが、歯科医師や歯科医療従事者の登録者数の増加に伴い、着実に収益が伸びていくと予想されるため、ストック型ビジネスに近いモデルです
これらからストック型ビジネスが主体のビジネスモデルであり、歯科医療は景気に左右されにくい市場でもあるため、安定性も高いと言えます
ビジネスモデルも基にして財務・業績を見ていくと、
財務面:
2022.5期末時点で
- 総資産:31億円
- 現預金:11億円
- 運転資本:18億円
- のれんを含む有形・無形の固定資産、投資有価証券の合計:6.6億円
- 借入金が8億円程度、負債総額でも14億円
- 自己資本比率:54.1%
※運転資本:現金および売上債権などの合計-買掛金などの合計
4の6.6億円は総資産の20%程度と比率が低く、景気・業績後退期の際の減損リスクもこの金額が上限と考えれば、単年度利益では賄えませんが、リスクとしては大きくありません
これは製造業などのように景気・業績後退期での大きな損失を出す可能性が、低いことを示しています
次に5の負債総額は、現金残高を超えてはいますが、現預金で借入金はすべて返済可能であり、実質無借金経営です
業績面との兼ね合いでも、年間販管費が15億円程度により、十分とは言えませんが、3の運転資本で見れば、1年以上の事業継続が可能な水準です
リスクヘッジからこれらは見ておくべき点です
業績面:
まず、メディカルネットの直近3期間の四半期毎の売上高と営業利益の推移です
メディカルネット業績推移
※20:2020.5期、21:2021.5期、22:2022.5期、23:2023.5期
※注意:2020.5期と2021.5期以降では、売上高の基準が違うことにより低迷しているように見えますが、同じ基準で比較した場合は順調に伸びています
ビジネスモデルがストック型がメインであるため、四半期毎でも着実に売上高は伸びています
一部スポット収益が発生する、また、新たな会社のM&Aなどより多少の増減は発生していますが、安定的成長ができていることがわかります
ただし、2022.5期以降は㈱オカムラやノーエチ薬品㈱などを子会社化したことにより、医薬品・歯科器材材料の販売が拡大し、4Qの売上高が大きくなる傾向が見て取れます
一方、営業利益を見ていくと比較的2Q,3Qの利益が高く、4Qで下がっていることが多いです
これは4Qの業績が実質的に悪くなっているのではなく、業績が順調な際にはその上振れ分をシステム改修や人材採用費、その他先行投資のために費用計上をしているために見た目上下がっています
そのため、実は4Qが下がっていることがメディカルネットの業績が好調であることを示しているとも言えます
視点③今後の成長戦略
今後の成長を左右する最も重要なポイントは、各プラットフォームの登録者数および利用者数がどこまで伸ばせるかです
メディア・プラットフォーム事業の取引先数:1,000/68,000クリニック
医療BtoB事業で取引のある歯科医療関係企業:90/400社
医療BtoB事業のプラットフォームの歯科医師登録者数:2万/10万人、医療従事者4.6万人程度
医療機関経営支援事業の取引数:3,000/68,000クリニック
※いずれの数値もメディカルネット2022年8月「事業計画及び成長可能性に関する事項」より出典
上記の数字を見ていただいた通り、全体数からするとまだ少ない状況です
プラットフォームにおいては、これらの数値が伸びれば必然的に収益は伸びていく性質のものです
足元の状況では、
歯科医師および医療従事者の登録者数の伸びは近年鈍化していましたが、オンラインのデンタルショーなどを開催することにより再び伸び率は上昇してきています
これらの数字が伸びてくると他の数字も連動して伸びていきます
もちろんクリニック数などはプラスαでメディカルネット側からの営業やプラットフォームを通じた取引拡大なども期待できますが、
個人的に最も重要と見ているKPIは、歯科医師および医療従事者の登録者数が伸びているかどうかです
この数値が低迷し始めた時は要注意です
他の点としては、タイでの海外事業は会社の当初想定よりも好調、医療BtoB事業も同様に当初計画より伸びそうな状況です
M&Aにおいてもグループ化した各子会社が着実に収益を積み増せており、今後のさらなるM&Aによる事業拡大も期待したいところです
ただし、会社の掲げる2025.5期の売上高100億円、営業利益:10億円という2022.5期の約3倍規模を3年で達成するというかなり高い目標が達成できるかの明確なポイントは見つかりません
成長に関しては疑う余地は少ないため、その成長がどの程度まで伸びていくか今後注視していきたいところです
現在の株価は割高?割安?
2023.5期計画に対する現在株価のPER:20倍程度です
2022.5期本決算発表時の2023.5期通期計画が大幅な減益計画により、大きく株価が下落しました
個人的には、今後はどこかで反発するタイミングが来るのではないか、と予想して注目しています
また、何か動きがあれば順次更新していきます
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会社概要
証券コード/銘柄名:3645/㈱メディカルネット
設立年/上場年/上場市場:2001年/2010年/グロース
業種コード/業種:5250/情報・通信
決算月:5月
事業内容:歯科医療に関するプラットフォーム事業を主力に医療機関経営支援事業、医療BtoB事業を展開。M&Aや海外展開を積極的に進める
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.5(会社予想):4,500(20.1)/320(▲28.9)/321(▲29.2)/190(▲50.7)
- 22.5:3,745(29.0)/449(35.8)/454(35.1)/384(196.8)
- 21.5:3,330(14.1)/331(211.4)/336(223.4)/129(63.4)
- 20.5:2,917(30.5)/106(▲39.6)/103(▲43.1)/79(▲22.4)
- 19.5:2,236(28.5)/176(15.3)/182(18.1)/102(16.0)
- 18.5:1,740(17.5)/152(24.0)/154(24.1)/88(7.0)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください