ここではアピリッツについて、
投資の参考にできる情報と視点、将来性、割高/安の判断などを紹介します
各所に記載している数値は2022年12月執筆現在のものです
2022.12.15第3Q決算更新
目次
ココが投資ポイント
アピリッツについての投資ポイントです
- 事業領域はWebサービス全般とオンラインゲームの企画・開発・運営が主軸
- ①オンラインゲーム事業は開発受託から運営移管まで展開
- ②Webソリューション事業はDX全般を企画から開発・導入、運営まで一気通貫で受託、提供
- ③新規事業として、人材育成派遣を育成中
- M&Aに積極姿勢
2021.12.28に㈱ムービングクルーを完全子会社化、Webソリューション事業の強化&領域拡張
2022.7.1に㈱Y’sを完全子会社化、IT人材派遣業を強化 - ①は自社作品もあり好不調の波があるが、受託案件による収益でゲーム会社と比較して安定的
- グループ全体社員数:696名、本体のみエンジニア等部門人員:①279名、②240名、③153名と会社の規模に対する社員数がかなり多い
- 原価率が70%台と高め、ほとんどがエンジニアなどの人件費
営業利益率は5~10%と低く、収益性に懸念あり - 2023.1期第3Q実績:
売上高:5,263(50.7)
営業利益:301(145.4)
純利益:171(234.2)
単位:百万円(前年同期比%)
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 成長市場にポジショニング
- 市場での差別化
- 収益性の低さ/不安定さ
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①成長市場にポジショニング
Webソリューション事業
DX関連の市場規模は、どの分野も好調な成長を続けており、特に新型コロナウイルスまん延後はその成長も顕著になっています
㈱富士キメラ総研発表の「デジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場(投資金額)調査」によると、2020年度1兆3,821億円から、10年後の2030年度には5兆1,957億円と3.8倍に成長すると試算されています
10年で3.8倍だと年率平均で15%近く投資額が増えていく計算となり、今も最も成長著しい市場の1つと言えます
他の銘柄紹介の記事でも、セイバーセキュリティなど、DXの中の特定分野の市場成長性も紹介していますが、どれも良好な成長予測が示されています
また、僕が企業分析のために個別に企業のIRへもヒアリングしていますが、ヒアリングしたすべてのDX関連のサービス・コンサルを主体としている企業では、需要は旺盛で契約の受託や問い合わせは、今なお増えている状況との回答がありました
アピリッツでも問い合わせ件数は、2023.1期第2Qは過去最高を更新、第3Qは減少するも高い水準を維持していることが示されています
アピリッツの今後の成長については、Webソリューション事業に大いに期待したいところです
オンラインゲーム市場
国内のオンラインゲーム市場は、ここ数年は増加から伸び悩みもありましたが、
経済産業省公表の「2021年電子商取引に関する市場調査」では、
「オンラインゲーム」は1兆6,127億円(前年比:7.82%増)の市場規模となっており、直近2年は7%台の成長となっています
国内のオンラインゲームの市場予測は、有料情報でしか入手できなさそうなため、ここでは紹介できませんが、グローバル市場では今後も大きく伸びる予測が示されています
国内もグローバル市場ほどの成長は見込めませんが、当面は維持または安定成長が続くと予想しています
視点②市場での差別化
Webソリューション事業
DXに関係することは、ほぼすべてを網羅的に対応し、アピリッツのみで完結できることが強みです
例としては、クラウドの導入から運用まで、アプリの開発、EC事業の立ち上げやマーケティング、サイバーセキュリティなどです
特に企画や導入、開発から運用やデジタルマーケティング支援などまで、網羅的に高い技術力で扱える会社は少ないです
過去の実績はアピリッツのホームページで紹介されていますが、他業種へ幅広いサービスや製品を提供しています
成長を支える1つの指標として、継続的な受託案件の大型化と単価の上昇があります
オンラインゲーム事業
自社でのオンラインゲームの開発、他社からの開発受託から運営移管、クリエイター/エンジニアの派遣とこちらもゲーム会社などへ必要なサービスツールを提供しています
実際に他社のゲームの開発から運用委託を受けている実績も多数存在します
直近では、元々開発および運営パートナーとして関わっていた㈱アカツキ(東証プライム上場)との櫻坂46・日向坂46応援【公式】音楽アプリ「UNI’S ON AIR」の共同運営体制への参画および2022年10月に運営移管、
㈱セガ(東証プライム上場セガサミーホールディングス㈱子会社)から「けものフレンズ3」の運営移管
などの実績があります
ただし、運営移管は、そのゲームそのものを引き継ぐ形になるため、企業買収に似た形であり、移管を受けるゲームタイトルによっては、多額の資金が必要、のれんなどが発生する点は注意が必要です
現在は、「式姫Project」を開発中で、2023年秋ごろリリース予定となっています
人材育成派遣事業
2022.7.1に㈱Y’sを完全子会社化し、IT人材派遣業を強化で買収子会社分も上乗せされ売上が伸びています
まだ事業規模としては小さいため、利益率よりも売上がどれだけの成長路線を描けるかがポイントです
新規事業であるため、実績にも乏しく、今後を注視しておく必要があります
以上、ゲーム事業はどうしても業績の好不調の波が大きくなりがちですが、Webソリューション事業は現在も需要が旺盛で、高い技術と幅広いサービスにより、当面は成長していくことが期待できます
また、人材育成派遣事業も伸びる期待もでき、成長可能性は十分にあると判断しています
参考:アピリッツ過去10年の事業別売上高推移※
アピリッツ売上高推移
※出典:㈱アピリッツ「2023年1月期 第1四半期 決算説明資料」
視点③収益性の低さ/不安定さ
売上高営業利益率は5~10%程度と、DX系の企業としてはかなり低めです
この点は大きなマイナス要因と言わざるを得ません
セグメント別利益率に見てみると、
オンラインゲーム事業:5%水準
Webソリューション事業:30%水準
人材育成派遣事業:5~10%水準
人材育成派遣事業はまだ規模も小さく、また、子会社買収による費用も含まれ利益率が低くなっている状態のため、参考程度に把握しておいてください
一方、オンラインゲーム事業が特に低く、収益を圧迫しています
一番の理由は原価に多く含まれる人件費です
グループ全体で、売上計画が70億円の規模に対して、かなり多い印象です
特にオンラインゲーム事業に、多くのエンジニアが在籍しており、この業種は社員の力量による部分も大きいため、多くの人材を雇用する必要があります
ゲーム事業を展開する企業に多い傾向で、このためにゲームの好不調により、業績が大きく変動する傾向が強いです
アピリッツも正社員でこれだけの人員を雇っており、営業利益率が低いことは、好調な間は問題ありませんが、業績が悪化した際には、赤字に転落しやすい体質でもあります
いわゆる固定費率が高く、損益分岐点も自ずと高くならざるを得ず、利益が出しにくい体質、業績の不安定さを表す要因でもあります
この辺りは、今後の成長性に関わる部分であるため、うまくいった場合には大きく成長する規模である一方、成長鈍化した場合には重荷になる部分でもあるため、成長性は今後もよく見ておく必要があります
また、貸借対照表の資産について、現預金と売上債権と資金性の高い資産が2/3程度を占めていることは、財務の安全性は高いと言える一方、
のれん残高が3.5億円あり、のれん償却負担の重荷や、経営悪化の際の減損による業績悪化も懸念されます
現在の株価は割高?割安?
2023.1期の業績計画に対する現在株価でPER:10倍台後半の水準です
成長企業としては高くはありませんが、上場が2021年2月とまだ間もなく株価はまだ安定していません
また、第3Q決算発表後は急落しており、第2Q決算後に上昇を続けていたこともあり、今後当面は上下動が大きくなる可能性も高いです
株価の変動が落ち着くタイミングまでは、静観しうまく安値を拾いたいところです
PERが低めだと業績が伸びた際に株価も大きく上昇するので、その点が狙い目でもあります
うまく相場の上下変動に合わせた下落後安値圏で拾えると良い投資になると見ています
また、何か動きがあれば順次更新していきます
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:4174/㈱アピリッツ
設立年/上場年/上場市場:2000年/2021年/スタンダード
業種コード/業種:5250/情報通信
決算月:1月
事業内容:企画・運営・コンサル・パッケージ開発・販売などのWebサービス全般、オンラインゲームの企画・開発・運営
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.1(会社予想):7,000(46.0)/450(93.1)/440(100.0)/270(147.7)
- 22.1:4,795(23.3)/233(1.7)/220(▲3.9)/109(▲12.8)※連結決算開始
- 21.1:3,889(8.7)/229(59.3)/229(59.9)/125(88.7)
- 20.1:3,579(23.3)/144(25.0)/143(24.8)/66(14.1)
- 19.1:2,902(19.0)/-(-)/114(▲39.8)/58(▲54.2)
※2021年上場より開示されている過去の営業利益の記載なし
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください