ここでは、Edulab(以下、el社)について、
投資の参考にできる情報とポイントを紹介します
記載の内容は2022年11月執筆時点のものです
2022年11月14日決算更新済
目次
ココが投資ポイント
el社についての投資ポイントです
- 主力事業①教育プラットフォーム事業
「英ナビ!」が堅調な会員数の増加継続(2022年9月733万人、前年比+24.3%) - 主力事業②テストセンター事業
本格稼働から売上伸張、セグメント利益は黒字化、2022.9期4Qで最高益 - 主力事業③テスト等ライセンス事業
「CASEC」は2021.9期の受注減少で2022.9期は減収で大幅な減益 - 事業全体:当面は不採算部分の縮小を計画
- 増進会ホールディングス(以下、増進会)が約30%を取得、増進会のグループ会社化
- 2022.9期2Qまでに多額の減損損失を計上、今後の業績を見るうえでは多額の費用を圧縮
- 2022.9期実績:
売上高:9,758(▲3.3%)
営業利益:▲234(-)
純利益:▲818(-) - 不正等よる信用失墜などの業績や経営への影響は限定的との判断(増進会の傘下入りもプラス)
- 「特設注意市場銘柄」への指定を受ける(2022年4月1日公表分)
※PER:Price Earnings Ratioの略、株価収益率という1株当たりの株価に対してどのくらい利益を出せているかを測る指標
わかりやすくいうと、PER:時価総額(株価)が利益(1株あたりの利益)の何倍か
のちほどこれらのポイントの根拠を説明していきますが、その前に過去の振り返りを少し・・・
過去の振り返り
投資ポイントの根拠を説明していく前にel社については、これまでの流れを確認しておく必要があるのでまとめておきます
- 2021年8月2日に不正に対する特別調査委員会設置および四半期決算発表の延期を発表
株価は大暴落 - その後も度重なる調査の延長とその範囲を拡大、2021.9期の決算発表も大幅に遅延
継続的な株価下落を続け、最安値493円まで下がり、2020年10月の最高値10,900円から株価は1/20以下にまで下落 - 2021.9期本決算では監査にて「無限定適正意見」が提出されている
- 2021.9期は純資産の約半分をなくすほどの大きな損失計上
- 2022年4月「特設注意市場銘柄」への指定
- 現在は期限内に決算発表を行う
- 創業メンバーが経営から退き、増進会のグループ会社化
- 現預金は約60億円と減少も借入金および社債合計より多く、当面の経営としては継続可能
ここに書いたのは会社公表をまとめただけのもののため、特に説明するところはないですが、
投資をする上では、
監査法人が特別調査委員会の調査も考慮した上で「無限定適正意見」を出したということは、公表した業績数値等は信じてもよいレベルまで仕上がっている
※ただし、監査法人が交代(特に大手から中小への交代)は悪いイメージが強いです
現預金 > 借入金および社債の合計金額 により当面の経営が継続できる
は重要です
不正等により経営が傾いたリスクのある会社に投資する場合に、この2つは見ておくべき点です
ただし、後ほど説明しますが「特設注意市場銘柄」への指定をされたことは大きなマイナスポイントです
ということでさきほど挙げた「投資ポイント」の根拠の説明です
投資ポイントの視点
すでに色々と書いてしまっている点も多々ありますが、「投資ポイント」を大きく「魅力」、「タイミング」、「リスク」の3つに分けて説明します
視点①魅力
投資ポイント1~5について、投資の「魅力」としてまとめると、
主力事業のうち2事業が安定かつ成長すれば、積上式に売上を伸ばしていく(ストック型収益)事業であり、大きく崩れにくい
主力事業①における、英検対応を中心とした「英ナビ!」は、高校生の約半数が利用しているなど、約733万人が利用するオンライン英語学習サービスとしての地位を固めており、会員数は右肩上がり(前年同期比:+24.3%)で伸び続けています
「スタギア」は英検だけでなく、数検、漢検にも対応することで事業の厚みを増している
「スタギア英検」は英検公式の英語学習サービスであり、el社はそれ以外にも英検へ様々なサービスも提供している
主力事業②のテストセンター事業は全国へテストセンターを拡大しており、英検及び大学受験などでの利用が推進され、一度使用すれば次年度以降も利用する可能性が高く、今後の売上の安定的成長が見込める
利用者数も同サービスを開始当初から四半期ごとに20万人前後が利用、2022.9期は73万人利用(前期比+18.8%)と業績が回復すれば拠点の増加とともに増収も見込める
実際に2022.9期でも、売上高+8.5%増で順調に伸びており黒字化、2022.9期第4Qは四半期別最高益の状況です
この事業は試験会場を主催者側で独自に準備する必要はなく、受験生も遠方からくる必要なく近くのテストセンターで受験できるようになるなどの導入メリットが大きい
コロナの影響や国としてもCBT試験の推進をしていることからも、伸びる期待ができる事業です
特に僕が投資するうえで重視している点が「ストック型収益」であることとその収益が「安定的な成長を見込める」ことの2点です
el社へ不正以前から投資していたのはこの理由のためであり、僕個人的にはこの点の魅力はなくなっていないと判断しています
最後に、増進会の傘下になったことで、Z会などとのシナジーを期待でき、両社での相乗効果や増進会のグループ会社となったことで信用回復の点からも期待ができます
まだ2023.9期の業績予想は公表されませんでしたが、増進会とのシナジーの精査中によるためとなっており、前向きな理由も評価できる点です
ポイント②タイミング
2つ目の投資の「タイミング」です
これは株価がどの程度低迷しているかという点でもありますが、
これを書いている2022年11月現在で株価670円、時価総額は67億円程度です
直近の増進会がel社の約30%の株式を持ち、増進会のグループ会社化されることが発表され、一時株価は40%超も上昇しました
まだ次に紹介しているリスクがある会社ですが、増進会のグループ会社化になったことで一定程度のリスクは軽減され、事業も再度軌道に乗れば、黒字化および成長性は高いと見ており、今が投資のタイミングとも言えます
これらを見込んでこの株価水準でタイミングよく投資しておくということです
ポイント③リスク
「リスク」については、
不正の公表が2021年8月2日ということは2021.9期については、この不正に対する信用失墜による外部との取引として、影響が軽微だったかどうかがまだ不確定要因であるということです
2022.9期は実績を見る限り、減収かつ最終損失となっている点から影響が軽微だったとは言えない状況です
今後この影響が想定以上に大きくなるようであれば、既に書いた魅力やタイミング以上にリスクが大きくなってしまいます
それによる株価の下落リスクも把握したうえで、投資するかどうかを決める必要があります
※2022年4月1日公表「特設注意市場銘柄」への指定について
詳細はel社からの公表資料を読んでいただければ内容はわかっていただけると思いますが、
この「特設注意市場銘柄」への指定を簡単に言うと・・・
問題点があるから注意してください、この問題が一定期間内に改善されなければ上場廃止になりますよってことを通知したということです
もちろん
上場廃止 = 株式の売買ができなくなる
ということなので事実上投資していたものが回収できなくなるという恐ろしいことです
el社は不正・粉飾等で大きな問題となり、そこには会社の監視機能が正常に働いていなかったということもあり、
内部統制の問題を指摘され、それが一定期間(1年間が基本)内に改善したとみなされなければ上場廃止になるということです
世にも恐ろしい
ただ、個人的にはこの件は今回の問題の大きさからおそらく既定路線であったと見ており、指定されたこと自体はあまり気にしていません
まぁ、その前日の2022.9期第1Qの決算内容が想定より悪かったことと合わせてで株価が10%も急落したのは想定以上でしたが・・・
あとは個人的な見立てとして読んでいただきたいのですが、
「特設注意市場銘柄」指定に対して、増進会が筆頭株主となりグループ会社化されたことにより、ガバナンス及び信用の面は向上したと見ていいと考えます
もちろん問題はel社自体ですので自社でのガバナンス体制の構築とその実効性の向上は必須ですが、今回においては指定解除される可能性は高くなってきていると見て投資を継続しています
また、何か動きがあれば順次更新していく予定です
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:4427/㈱Edulab
設立年/上場年/上場市場:2015年/2018年/グロース
業種コード/業種:5250/情報・通信業
決算月:9月
事業内容:英検対応のオンライン英語学習サービスの運営、テストおよびテストセンターの運営が主力
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 2022.9(会社予想):会社公表なし
- 2022.9:9,758(▲3.3)/▲234(-)/100(-)/▲818(-)
- 2021.9:10,090(27.9)/▲593(-)/350(▲35.4)/▲5,255(-)
- 2020.9:7,890(39.1)/689(▲12.0)/542(6.7)/378(59.0)
- 2019.9:5,670(65.6)/783(201.2)/508(158.4)/237(338.3)
- 2018.9:3,424(19.3)/260(-)/196(-)/54(-)
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも私個人の見解と情報収集によるもので必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください