ここではビザスクについて、
投資の参考にできる情報と視点、将来性、割高/安の判断などを紹介します
各所に記載している数値は2022年9月執筆現在のものです
目次
ココが投資ポイント
ビザスクについての投資ポイントです
- 日米を中心にビジネス領域の知見マッチングを中心とした、ナレッジプラットフォームの運営が主力
- 主なサービスにスポットコンサル、オンラインサーベイ、伴走支援、社外取締役や監査役のマッチングなど
- 日米以外にロンドン、シンガポール、香港に拠点を置く
- 登録アドバイザー数がグローバルで49万人超
- 2021年11月1日Coleman Research Group, Inc.(以下、Coleman社)を買収
取得価額:約118億円(取得時の円換算)
取得直前の2022.2期第2Q時点のビザスク総資産:23.5億円と総資産の5倍の買収額 - 5によるのれん等の発生が、買収時での円換算で約103億円
ドルベースのため、現在はのれん等の額が大きく増加
年間ののれん等償却額も膨らみ、2023.2期:7.3億円($6.1M)の費用を計画 - 5による借入:40億円、年間返済額が約5億円
- 株価は2021年9月に7,120円の最高値後、現在は2,000円程度まで落ち込む
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- ビジネスモデルと成長性
- Coleman社の買収の影響と今後
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①ビジネスモデルと成長性
ビジネスモデル
ビザスクのビジネスモデルは投資ポイントにも書きましたが、
知見を持つアドバイザーとそれを必要とする企業とのマッチングを中心とした、ナレッジプラットフォームの運営が主力です
このビジネスモデルの強みはどれだけ幅広く、かつ、深い知見を持ったアドバイザーを集めることができるか、
また、それをできるだけグローバルに展開し、顧客を集めることができるかがポイントです
このビジネスモデルに関しては、国内での地位は確固たるものを築くことができており、国内を伸ばしていくとともに、グローバル展開を目指していく段階に来ています
そのためにColeman社を買収し、現在では、50万人近いアドバイザーを要するまでになり、数年の間に100万人を目標にしています
また、この買収を機に北米市場への大きな足場を築くことができ、次の成長段階に期待したいところです
具体的なビジネスモデルの内容の説明は、ここでは長くなるため、詳細は会社HPに任せることにします
成長性
ビザスクの直近数年間の伸びを見ると、
3年で営業収益が5,6倍になっており、急成長を続けています
後ほど説明する、Coleman社の買収もあり、2023.2期も営業収益は2倍以上の伸び率の計画です
2022.2期はColeman社の買収もあり、大きく減益となり、営業損失および純損失となりました
しかし、買収関連費用を除けば、
営業利益:746百万円
です
2021.2期が208百万円だったことを単純比較すると、3.5倍以上になっています
もちろん一部はColeman社の利益も含まれていますが、ほとんどはビザスクから生まれている利益であるため、ビザスクの成長は現在のところは非常に順調と言えます
なお、2022.2期に計上した買収関連費用は一時的な費用と、のれん等の償却という今後に関係する費用があります
後者は今後にも影響の大きいものであるため、次の視点②で詳しく見ていきます
なお、最後になりましたが、ビザスクの成長性の要でもあるビザスクの事業が位置する市場の成長性についてですが、
ビザスクのビジネスモデルを理解していただけていれば、肌感でも当面は成長を予想できると思われますし、各調査会社が公表しているデータでも堅調な成長予測が出ています
そのため市場の成長性については、割愛させていただき、視点②を詳しく説明していきます
視点②Coleman社の買収の影響と今後
Coleman社の買収はビザスクの事業規模および会社規模に対して、非常に大きい買収額であるため、この点は項目ごとに詳しく見ていきます
Coleman社の直近の業績の状況
2021.12期(Coleman社は12月決算)実績:
営業収益:4,710(47.6%)
営業利益:1,157(825.6%)
単位:百万円(前期比)
と大きく増収増益となっている状況です
ただし、それ以前の2期を見るとあまり成長できておらず、今後についてはまだ安易に期待できる実績ではありません
Coleman社の買収価額
これに対するColeman社の買収価額(取得費用含む)が、買収時の円換算で約118億円です
買収前のビザスクのみでの総資産は23.5億円、総資産の5倍の買収価額です
Coleman社が2021.12期の実績から堅調な成長を見せれば、買収価額も決して高いものではないですが、多額であることは間違いありません
発生するのれん等とその償却額
この買収価額に対するのれん等の発生が、買収時の円換算で103億円です
これが2023.2期第1Qの決算時点では、円安の影響もあり、140億円近くまで膨らみました
のれん等の年間償却額が$6.1Mとなっており、業績計画では1ドル=120円の換算で、7.3億円の償却額で計上されています
現在が1ドル=140円程度のため、8~9億円程度まで費用が膨らむ可能性があります
Coleman社も業績はドルベースであるため、利益が大きく出せれば、円換算の利益は大きく出るため、最低でものれん償却額$6.1Mを超える事業利益を期待したいところです
多額ののれん等によるリスク
のれん等の計上額は見ていただいた通りです
ここから懸念されるリスクは、のれん等の減損リスクです
減損とは、Coleman社の業績が買収時の計画を下回るような状況になった際に、当初投資額を回収できないと判断された場合に、その回収できない額が損失として計上されることになります
のれん等には元々それ自体には、資産価値がないものであるため、減損リスクの最大額はのれん計上額の全額です
2023.2期第1Qの場合であれば、約140億円ののれん等が計上されており、この全額が損失計上される可能性が少なからずあるということです
もし、そうなった場合には、純資産額が108億円しかないため、債務超過に陥ります
そのくらい多額の買収であったということです
これはあくまで可能性の話ではありますが、最大リスクとして認識しておくべきリスクで、今後はビザスク全体の業績の実だけではなく、Coleman社の業績も注意しておく必要があります
Coleman社とのシナジー
先にリスクという一歩引いてしまうような点を説明しましたが、ビザスクがそれほどまでしたColeman社を買収したのにはそれだけの理由があります
買収時の説明資料では、
ビザスクは「ビジネス領域における世界で一番のナレッジプラットフォームへ」を戦略の中心に据えています
登録アドバイザー数も100万人を目標としており、今後数年間で現在の2倍まで伸ばす計画です
Coleman社は米国を中心に、ロンドンと香港に拠点を構えており、世界最大規模の北米市場へ位置しています
その中で質の高い31万人のアドバイザー数を要し、多くの有料顧客を有しています
アドバイザー数では、ビザスクの1.5倍以上です
ビザスクとのビジネス親和性が非常に高く、かつ、最大規模の北米市場への大きな足場を手に入れるための、数少ない相手先の1社だったと言えます
Coleman社の業績的には、さきほど紹介した通り、買収価額と比較してまだこれから成長が必要な水準ですが、両社のシナジー効果の期待は十分にできます
また、Coleman社の創業者であり、現CEOでもあるColeman氏が、この買収においてビザスク株を取得し、ビザスクの取締役へも就任したことから、両社の連携もうまく取れていくのではと期待できるポイントです
補足:2023.2期の業績計画
2023.2期の業績計画は、
営業収益:8,700(135.0%)
営業利益(のれん等償却前):1,000(33.9%)
営業利益(のれん等償却後):260(-)
純利益:10(-)
単位:百万円(前期比)
※2022.2期の営業利益(のれん等償却後)、純利益はそれぞれマイナスであったため、前期比は「-」
とColeman社を買収したことで、営業収益は大きく伸びるものの、のれん等償却の負担も大きく、利益は伸び悩んでいます
今後の成長性については、もう少し先を見るしか判断のしようがありません
しかし、Coleman社でののれん償却を超える利益にまで大きく伸びない限り、買収による利益の上乗せは厳しいため、
投資をする際は、最低でも今期のグループ全体とColeman社の業績の状況は、継続的に把握・検討されることを強くお勧めします
現在の株価は割高?割安?
株価は最高値:7,120円からは1/3以下まで下がっている状況です
それでも現在の株価を割安と判断できる状況ではありません
ここまで説明してきた通り、Coleman社の成長性という不確定要素が大きく、判断のしようがないというのが本音の部分です
他には買収時に2つの種類株式の発行がされていますが、これら株式は普通株式への転換が可能で、転換価格が3,724円です
今はこの金額を大きく下回っているため、転換されることはまずないと考えますが、
株価が上昇し、この額を超えてくると転換され、株式の希薄化が起こり、株価の上昇に悪影響が出る可能性もあります
そのため、この価格付近で株価が停滞する可能性もあるかもしれません
希薄化:株式数が増加することにより、1株当たりの利益などが下がること
この点も投資に際しては、考慮に入れておくべき重要なポイントです
また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

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会社概要
証券コード/銘柄名:4490/㈱ビザスク
設立年/上場年/上場市場:2012年/2020年/グロース
業種コード/業種:5250/情報通信
決算月:7月
事業内容:ビジネス領域におけるナレッジプラットフォームの運営。主に知見マッチングを通じたスポットコンサル、オンラインサーベイ、業務委託など
営業収益/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.2(会社予想):8,700(135.0)/260(-)/230(-)/10(-)
- 22.2:3,702(130.8)/▲112(-)/▲389(-)/▲475(-)
- 21.2:1,604(63.0)/208(191.5)/197(244.5)/201(282.0)
- 20.2:983(60.2)/71(183.5)/57(137.8)/52(92.3)
- 19.2:614(132.6)/25(-)/24(-)/27(-)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください