日本株/個別銘柄

【投資ポイント】4689 Zホールディングス(ZHD)

ここでは、Zホールディングス(以下、ZHD)について、

投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します

2022年11月執筆時点の情報です

2022.11.2決算更新済

目次

ココが投資ポイント

ZHDについての個別投資のポイントです

  1. 主なグループ企業一覧
    ヤフー、LINE、PayPay、ZOZO、アスクル、出前館、一休、GYAOなどと多彩
  2. LINEは黒字を継続でLINEギフトへ積極的投資中
  3. PayPayは事業全体ではまだ損失が先行、ただし先行投資費用除けば黒字化達成
  4. 2022.10.1にPayPayを子会社化、連結化に伴う再測定益約1,480億円を計上予定
  5. 出前館はまだ損失が大きく先行している状況だが改善傾向
  6. ヤフー単体での成長は期待薄
  7. ZHD全体の売上収益は20年以上連続増収(前身のヤフー時代含む)
  8. 2022.3期:前年比は売上収益30%、営業利益17%、ZHD帰属当期利益10%と増収増益
  9. 2023.3期は売上収益10%増収を公表
  10. 2023.3期第2Q実績:
    売上収益:7,849(4.5%)
    営業利益:994(▲13.8%)
    純利益:403(▲25.7%)
    単位:億円(前年同期比%)
  11. 資本関係が複雑

これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・

投資ポイントの視点

ZHDの成長と株価上昇はLINE、PayPay、出前館がどこまで黒字化して売上・利益を伸ばせるか

このグループ3社の成長がカギを握っていると言ってよいです

見通しはこの2,3年以外に結果が出ると想定しています

では、その理由を次の根拠で示していきます

視点の根拠

まず、ヤフーやZOZO、アスクル他の各子会社は堅調な売上と利益を生み出しています

しかし、成長期待は直近の各子会社の業績やマーケットの状況から、何か大きな転換等がない限り難しいです

一方ではヤフーを中心として、各子会社が安定的収益を生み出すからこそ、成長事業へ積極的な投資が可能です

ZHDの事業基盤としては非常に強固です

その上でLINE、PayPay、出前館を見ていくと、

まずLINEは黒字化を達成後広告収入の成長が好調

今はLINEギフトへの積極投資で利益は少額ですが、

近々この収益化も達成して、LINEは一層伸びる可能性は高いところまで来ています

次にPayPayは事業拡大の先行投資を除けば、事業利益は黒字化を達成

まだ当面は、事業拡大とキャッシュレス競争を勝ち残るための先行投資が大きいですが、

これも2,3年程度で黒字化と急速な利益成長が見込めます

さらに2022.10.1よりPayPayを子会社化しました

現在が赤字先行であるため、即利益貢献ということにはなりませんが、 近いうちに収益貢献するとともに主要子会社の1社になることは間違いないはずです

最後に出前館ですが、

デリバリー業界は競争が厳しくなっていて、かなり自然淘汰が進んできています

今の状況では2年程度で競争の決着がほぼ着いて生き残ると予想しています

2021年にはNAVERとともに出前館への大型増資を実施しています

ただし、出前館の決算発表では、23.8期、24.8期とまだ2期間は赤字先行、25.8期での黒字化の計画が発表されており、それにより株価も大きく下落しました

LINE、PayPayがかなり目途が付いてきたこともあり、出前館が今後の課題です

2022.3期本決算実績の考察

2022.3期本決算の売上収益30%の増収はLINEの子会社化によるところが大きく、単純な各事業の伸びと受け取らないように注意が必要です

ただ、その効果を除いても各事業・各子会社の業績は順調に成長していることは非常に強みです

一方、利益が売上収益ほど伸びていない理由が、

「持ち分法による投資損失」および「持分法による投資の減損損失」の2項目で、約650億円の損失が発生していることによります

これで利益額の30%近くを減らしており、ZHDへの影響が非常に大きいです

この2項目を簡単に言うと、

子会社ではないが出資比率が高い(だいたい20~40%程度)会社の業績が悪く損失が出ているということです

ZHDでいうとPayPay、出前館が主な要因です

両社ともに事業・シェア拡大のために積極的な広告宣伝や販売促進を行っており、

先行投資による多額の赤字状態の会社です

ただし、PayPayは上記の通り、黒字化の目途がついてきているため、PayPayと出前館の2社が黒字化すれば利益は大きく伸びると考えられます

出前館に少しでも早く黒字化達成を期待したいところです

なお、出前館については個別にまとめていますので必要により参考にしてください

補足:2023.3期第1Q実績の考察

2023.3期第2Q実績:
売上収益:7,849(4.5%)
営業利益:994(▲13.8%)
純利益:403(▲25.7%)
単位:億円(前年同期比%)

売上収益は1Qに続き増収となったものの、年間計画10%増収へは届かず

また、各段階利益は減益、特に1Qと比較しても減益幅が大きくなってしまいました

粗利益 = 売上収益 - 売上原価

とした場合には、

売上収益の増収とともに粗利益も伸びており、利益率も改善していることから、売上収益の伸びの鈍化は見られるものの、事業は堅調のようです

セグメント別およその他主な減益要因を、具体的に順に見ていくと、

・メディア事業

LINE広告、ヤフー広告ともに前年同期比では伸びているものの、

LINE広告:2022.3期第4Qから3四半期連続の継続的減収
ヤフー広告:1Qからは増収も2022.3期3,4Qからは大きく減収の状況は変わらず

となっており、今後の成長に大きな懸念が残ります

ネット広告は経済の景況感にも左右されるため、今後は景気後退も懸念されており、見通しも当初から売上収益は下方修正されており、当面は厳しい状況が継続することが見込まれます

LINEの有償アカウント数は順調に増加、動画再生時間・回数・視聴者数の増加による動画広告の今後には期待できそうです

・コマース事業

KPIとなる取扱高は、前年同期比では、13.5%増と順調に伸び、2022.3期第4Qから2四半期連続減少していましたが2Qは増加へ反転しました

国内物販は伸び悩んでいますが、旅行需要の増加などにより国内サービスが大きく伸びたことが寄与しました

海外もまだ規模は大きくはないですが、堅調な成長を続けています

この点は、Yahoo!ショッピングとPayPayモールが2022年10月より統一化され、利便性と顧客の互換性を高めることで、更なる成長を目指すことになっており、取扱高がこのまま増加基調が続くことを期待したいところです

・戦略事業

新規事業などがこの事業区分となりますが、中心はPayPayなどの金融事業です

2QのKPIの状況は以下の通りです

PayPay登録ユーザー数:5,121万人/+21.1%
PayPay取扱高:+48.8%
PayPayカード取扱高:+24.7%
PayPay銀行の貸出残高:+74.8%
LINE証券口座数:+63.0%

と収益の源となる各KPIは、大きな伸びを示しています

LINEについても、LINE証券などの金融事業は国内外での順調な成長を見せています

売上収益は当初計画からも大きく上方修正されており、投資によるマイナス先行は大きくなってしまっていますが、成長性には大きな期待ができる分野です

・その他主な減益要因

営業利益の減益要因は、販管費の増加で、売上高の伸びが4.5%に対し、販管費は+13.5%の532億円増と負担が重くなってしまっています

特に1Qの販管費は8.0%増だったことを考えると、2Qは販管費が大きく増加したことを示しています

内訳では、人件費や販促費などを中心に、全般的に増加しており、会社の説明にもあったようにコスト最適化が求められるところです

他に大きな減益要因では、「持分法による投資損益」の損失が194億円となりました

PayPayに対する投資損失は大きく減少傾向にある中、出前館などの損失は拡大しているとみられ、前年同期比で損失は20億円増加しており、まだ先行投資に伴う損失が大きい状況です

親会社株主に帰属する当期純利益が▲25.7%と大きく減少しており、販管費の増加が非常に重くなっています

総合的に見て、主力のメディア事業およびコマース事業の売上高は今後注視すべき点ですが、PayPayを中心とするグループシナジーや、「持分法による投資損益」の改善による収益性の向上は大いに期待できると見ています

悩ましい資本関係・・・

少し横道に逸れるようなテーマになりますが、

ZHDは資本関係(要はどこのグループ会社なのかやどの企業から影響を受けるのか)について見ていきます

これは出前館でも紹介した出資関係図です

ZHD資本関係


※PayPayへの出資比率は変更となるため、確定次第にこの点は修正いたします

見てもらった通り、ZHDは実質的にSBとNAVERの共同経営・出資です

今後はプライム維持のためにも流動性を向上させていくと公表されていますが、この関係は維持されると思われます

もし、今後経営方針が合わなくなった際にどうなるかは懸念が残ります

現在の株価は割高?割安?

1Q決算発表で成長鈍化が鮮明となり、株価は下落を続けることとなりました

2Qも減益幅が1Qから大きくなったこともあり、上値が重い状況がまだ続きそうな状況です

今後は主力事業のPERに見合う成長期待は難しい状況のため、PayPayが伸びることを期待したいところです

すでに書いた通り成長期待は十分できる会社ですが、マーケットの成長期待に応えることができるか判断が難しいところです

また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら

個別株への投資の方法について興味あればこちら

現在の僕の投資の状況に興味があればこちら

会社概要

証券コード/銘柄名:4689/Zホールディングス㈱(前身:ヤフー㈱)

設立年/上場年/上場市場:1996年/1997年/プライム

業種コード/業種:5250/情報・通信業

決算月:3月

事業内容:総合インターネットサービス企業、上記のグループ会社を傘下に事業展開

5年の売上収益/営業利益/税引前当期利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円

  • 23.3(会社予想):1,724,000(10.0)(売上収益のみ公表)
  • 22.3:1,567,421(30.0)/189,503(16.9)/158,542(11.2)/77,316(10.2)
  • 21.3:1,205,846(14.5)/162,125(6.5)/142,615(5.1)/70,145(▲14.1)
  • 20.3:1,052,943(10.3)/152,276(8.4)/135,676(10.0)/81,675(3.8)
  • 19.3:954,714(6.4)/140,528(▲24.4)/123,370(▲36.1)/78,677(▲40.0)
  • 18.3:897,185(5.1)/185,810(▲3.2)/193,177(▲0.2)/131,153(1.3)

僕の投資の状況

以前は投資をしていたことも一時期ありますが、どうしても当時のPERの高さがネックで投資は回収しました

ほとんど利益はほとんどなしです

ただし、魅力のある会社であることは間違いないです

これだけ多彩かつ安定と成長を期待できるグループ会社を持つ企業は一握りです

今後もモニタリングは続けていきます

また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

最後に

僕は日本の個別株への投資をメインにしています

また、その中でも成長性の高い株です

そのため比較的リスクは高めなものが中心です

これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています

その中で自分なりに分析して勝負する

時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、

そして、利益を積み上げることができたと思っています

投資はどうしても自己責任を伴うものです

どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです

なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです

ここまで読んでいただいてありがとうございます

一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!

注意事項

※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください

記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです

そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません

また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください

-日本株/個別銘柄
-,