ここでは住友金属鉱山について、
投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します
各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです
2022年11月8日2Q決算更新済
目次
ココが投資ポイント
住友金属鉱山についての投資ポイントです
- 長期ビジョンで『「世界の非鉄リーダー」を目指す』を掲げる
- 資源→製錬→材料のフローで3事業を展開
- 資源開発から製錬、機能性材料の生産までを一貫して行う3事業連携の事業モデルが特徴
- 銅やニッケル、コバルト、金などの金属製品で高い技術と質を誇る
- 資源価格と需給が業績に大きな影響を与える
- 短期的には需給のゆるみにより業績も減速、長期的には活用分野の拡大による需要拡大を見込む
- 売上高は2022.3期から急拡大、2023.3期も増収計画
- 2023.3期第2Q実績:
売上高:7,106(18.8%)
営業利益:1,375(53.9%)
純利益:1,190(4.6%)
単位:億円(前年同期比%) - 業績と株価にブレが大きく短中期投資向き、長期投資には向かない
- 株価は2,000~6,000円の幅で動く傾向あり
- 配当金は基本的に業績連動、配当性向:35%以上
投資ポイントの中で注目すべき視点を見ていきます
投資ポイントの視点
- 資源安で仕込み、資源高で売る
- 中期投資目線
- 需要
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①資源安で仕込み、資源高で売る
住友金属鉱山は資源株の典型的な業績と株価の動きです
まず業績と資源価格の推移を見ていくと、
住友金属鉱山-業績と資源価格推移-1
これは住友金属鉱山の各年度短信から売上高、当期純利益および銅、金、ニッケルの各価格を年次で推移にしたものです
資源価格が完全に業績変動と一致しているわけではないですが、銅を中心に資源価格と業績には高い相関があることがわかります
- 資源安になれば需要も弱まっているため、業績は下降傾向
- 資源高になる頃には需要も高まってきているため、業績は上昇
住友金属鉱山への投資は、この資源価格と需給の単純明快な動きに合わせるだけが最もシンプルかつ勝てる投資です
そのため、住友金属鉱山の業績よりも「銅」、「金」、「ニッケル」の需要と価格の推移に注視しておき、
需要が下がり、各価格が安くなったタイミングで仕込み、需要の高まりとともに価格が上昇したタイミングで売る
これを複数年単位で行い、ホールド力さえ持てれば勝つ確率の高い投資になります
そのために価格と需給の動向の注視、過去の推移から売買のための各資源の価格目線を持っておくことが大切です
視点②中期投資目線
視点①に勝つための投資方法を書きましたが、
これに株価目線を合わせていくと、過去15年間程度は2,000~6,000円の大枠で変動していることがわかります
2007年から現在までの株価推移
※全期間は2017年10月の株式併合調整後の株価です
株価が安値2,000円水準となったのが以下の4期間
2008年後半(リーマンショック時)安値:1,104円
2011年後半~2012年中盤(円高不況)安値:1,570円
2016年前半(中国景気減速とBREXIT)安値:1,946円
2020年3月(コロナショック時)安値:1,859円
株価が高値5,000~6,000円水準となったのが以下の4期間
2007年中盤 高値:6,560円
2018年年初 高値:5,562円
2021年序盤 高値:5,584円
2022年前半 高値:6,625円
安値はだいたい何かの不況や景気減速時と他の業種も下げるタイミングですが、資源価格が明確に下がるので下げと底が比較的わかりやすいです
現在もインフレによる景気の減速懸念、それに伴い資源価格も下落予想が出ているので、今後は買いのタイミングを狙います
高値を見てもらうと、2007~2017年の間は日本市場全体も低迷していたこともあり、5,000円以上までは上がり切らずでしたが、
大きな上下変動はだいたい2~4年程度の周期で繰り返しています
そのため現在の日経平均水準なら、6,000円前後を売りの水準、日経平均が上下動している場合はそれに合わせて、売りの株価水準を調整しておく
あとは、株価が下落するまで我慢をして購入、購入後は高値になるまでホールド継続すれば、この2~4年程度の間に株価は2,3倍程度になり、利益が取れると期待できます
視点①と視点②は高い相関で動くはずです
視点①を先行指標として注視、それとともに連動して株価の動きで視点②という感じです
需要
視点①および視点②において、住友金属鉱山における投資方法や重要な視点はまとめました
ここでは補足を兼ねて、住友金属鉱山の事業内容にも触れながら需要動向を見ていきます
ただし、短期的な需要は景気を中心に様々な要因で変動するため、長期的な大まかな需要目線としています
まず、住友金属鉱山の事業は大きく分けて「資源開発」、「製錬」、「材料」とに分かれ、別の事業ではなく、
資源開発 → 製錬 → 材料
というフローで、鉱山等から取り出してきた資源をメーカーなどが必要とする素材・材料に仕上げていく、連携された事業です
資源事業は主に「銅」、「ニッケル」、「コバルト」、「金」などの金属の鉱山(権益を含む)を有しており、これら資源を高品質な金属として製錬により外部へ供給、
一部を材料事業にて、車載向け電池材料や携帯・その他通信に使用する結晶材料、他に粉体材料、パッケージ材料、建材などを生産、
主に情報通信、自動車から再エネ関連、光学製品、家電や住宅設備などといった幅広い分野へ供給しています
必要な段階において「資源」、「製錬」、「材料」の各事業から外部へ供給できることも、住友金属鉱山の強みとも言えます
長期的には世界経済の成長とともに、各資源や材料の需要は高まると予想され、住友金属鉱山も積極的な鉱山開発や投資を行っていくことを、中期経営計画に掲げています
補足:2023.3期第2Q実績の考察:
2023.3期第2Q実績は
売上高:7,106(18.8%)
営業利益:1,375(53.9%)
純利益:1,190(4.6%)
単位:億円(前年同期比%)
※営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費 で算出
と資源価格と需要がまだ堅調なことから、前期ほどではないにしても、大幅な増収増益となりました
ただし、1Qからは大きく増収増益率は落ちてきています
これは各資源価格の下落が最も大きな要因です
円安効果のみ320億円程度の利益の増加に寄与しています
主な資源別にみていくと、
銅および金、ニッケルの主力すべての資源価格は1Qから下落しています
生産量はニッケルが減少も、銅、金は増加しており、まだ需要は堅調に推移しているとも見て取れます
ただし、通期計画は売上高は多少上振れも、利益は減益修正されており、今後は厳しくなると予想されています
あとは需要は景気に左右されることもあり、景気後退は高まってきていますが、今後どのくらいのインパクトになるか、見ておく必要があります
現在の株価は割高?割安?
現在の株価が4,400円台と決算に向けて上昇してきていますが、直近高値:6,625円から2/3程度にまで低迷しています
しかし、投資ポイントの視点②で紹介したように現在の株価での購入は、2,000円程度にまでまだ下がるリスクも十分に含んでおり、オススメはできません
株価の下落をもうしばらく待ち、2,000~3,000円あたりまでは我慢したいところです
会社公表でも需給は当面緩和傾向との見方を示しており、2023.3期の業績も利益は、2022.3期の半分程度の予想となっています
今急いて購入する必要もないとの判断です
また、何か動きがあれば順次更新していきます
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
参考:財務/業績
投資ポイントの視点でも説明したように、住友金属鉱山は財務や業績よりも資源価格と需給に注視と説明しました
ただ、財務や業績に何も触れないのは、さすがに手抜きとも思われかねないので、参考としてまとめておきます
業績
今後に期待できる大きなポイントとしては、「売上高の成長」です
2018.3期から2021.3期までは、9,000億円前後の売上高でしたが、2022.3期は1兆2,600億円まで伸びました
2023.3期も減益予想となるも、売上高は1兆3,770億円と増収予想を公表しています
利益はどうしても資源価格に左右されますが、売上高の成長は、利益のベース部分の底上げにもつながるため、2024.3期以降にも期待したいところです
次に、2022.3期の大幅増益要因を見てみると、会社説明資料では、
・相場要因
資源価格要因:1,430億円増
在庫評価益:160億円増
為替差益:190億円増
・銅鉱山売却益:744億円増
と、相場とスポットの鉱山売却が増益の要因でした
スポットを除けば、やはり利益の増減はほぼ相場に寄ると言える状況です
業績は結局はここに落ち着いてしまいますね
ただし、2022.3期の売上高水準が今後も続くのであれば、住友金属鉱山の利益水準も底上げされると予想されます
資源価格と需給とともに、売上高の推移にも注目しておくほうが良いと考えます
財務
財務数値としては、
借入・社債額に対する現預金残高割合:65%
販管費に対する現預金残高:約4年分
自己資本比率:63.7%
など安全性を示す各種数値はまずまずで問題ありません
業績に連動して財務内容でリスクの認識しておくべき点は、
棚卸資産:4,201億円
有形固定資産:5,078億円
のれんを含む無形固定資産:565億円
持分法による投資:3,687億円
その他の金融資産:3,875億円
で、これらは評価損・減損による大きな費用・損失の計上のリスクがあります
特に住友金属鉱山のような資源株の場合は、これらのほとんどは、資源価格に影響を大きく受けます
2022.3期のように資源価格の上昇により業績は急拡大する一方、
資源価格が大きく下落した場合には、資源価格による直接的な業績悪化だけではなく、これらの評価損・減損が追い打ちをかけるようなことにもなりかねません
これは資源株ほどではないにしても、製造業に多いリスクです
不況期になれば、多数の会社が評価損・減損を計上して大赤字に転落、ということは過去何度も起こってきたことです
ただ、現時点ではこのリスクは高くなく、財務内容全体としては比較的良好と言えます
会社概要
証券コード/銘柄名:5713/住友金属鉱山㈱
設立年/上場年/上場市場:1950年(創業:1590年)/1950年/プライム
業種コード/業種:3500/非鉄金属
決算月:3月
事業内容:「銅」、「金」、「ニッケル」を主要資源として資源開発から製錬、機能性材料の生産と3事業に分けて展開。資源価格に業績が大きく左右される
売上高/営業利益※/税引前利益/当期純利益(伸び率:%)単位:億円
- 23.3(会社予想):13,770(9.4)/-(-)/2,010(▲51.1)/1,370(▲51.3)
- 22.3:12,590(36.0)/2,050(96.1)/3,574(189.7)/2,810(197.1)
- 21.3:9,261(8.7)/1,045(73.2)/1,233(56.1)/946(56.1)
- 20.3:8,726(▲4.3)/603(▲21.9)/790(▲11.6)/606(▲9.3)
- 19.3:9,122(▲1.9)/773(▲25.1)/893(▲17.5)/667(▲26.0)
※住友金属鉱山の決算資料に「営業利益」としての記載はないですが、「営業利益=売上総利益 - 販売費及び一般管理費」として算出しています
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください