ここではアイ・アールジャパンホールディングス(以下、irj社)について、
投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します
各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです
2022.11.10第2Q決算更新済
目次
ココが投資ポイント
irj社についての投資ポイントです
- 開示や証券代行などのIRやSR、M&AやコーポレートガバナンスなどのPAやFA、LAなど資本市場に関するあらゆるサービスを提供
- 証券会社や信託銀行、投資銀行、IR会社、法律事務所などが主な競合相手
- 独自のデータベースとノウハウを用いたコンサルティングやサービス提供で差別化を図る
- アクティビストやM&Aなどの活発化によりポジショニングしている市場は成長傾向、世界的にも需要は高い
- 案件ごとの対応、売上計上となるフロー型収益のビジネスモデルのため、業績のブレが大きい
- 売上高に対する原価が小さく、高収益型のビジネスモデル(売上高営業利益率:2021.3期49.3%、2022.3期41.5%)
- 2022.3期は固定費の増加により減益および利益率の減少
- 2023.3期第2Q実績:
売上高:3,080(▲27.2%)
営業利益:492(▲72.3%)
純利益:348(▲71.8%)
単位:百万円(前年同期比%) - 資産のほとんどを手元資金(現預金と売上債権)が占め、ほぼ無借金経営(自己資本比率:84.4%)
- 経営ランニングコストに対する手元資金の比較では、借入などなしで1年ほどは事業継続できる水準
- 7期連続増配継続中&配当性向50%超と高配当
- 元役員によるインサイダー取引および開示規定違反の疑惑による家宅捜索が行われ、irj社でも独自に調査委員会を立ち上げるとともに調査結果を受領し、改善へ着手
- ダイヤモンドオンラインにて新たな疑惑記事が掲載
※IR:Investor Relationsの略
株主や投資家向けに企業情報など広報するための活動
SR:Shareholder Relationsの略
株主との良好な関係構築のための活動
PA:Proxy Advisorの略
議決権行使などに関するサポートや助言など
FA:Financial Advisorの略
M&Aなどの際に財務面の分析やサポート、助言など
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 元役員による一連の件の影響
- 影響に対する耐性
- 回復した際のメリット
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①元役員による一連の件の影響
自社で立ち上げた調査委員会の調査結果を8月に受領し、改善に着手している状況です
役員の異動においても、代表取締役社長であった寺下氏が代表権のない取締役となり、2023年6月の次回株主総会で辞任予定です
他にも入れ替えなどがあり、新体制への移行が行われています
信用回復を急ぎたいところですが、この件はirj社の事業全体の信用に大きく関わる内容であり、信用失墜による影響が業績を見ても明らかな状況です
irj社のビジネスモデルがフロー型収益のため、この件の影響により新規契約が取れない、受託済の案件が見送りになるなどなれば業績は大きく落ち込み、赤字転落も十分に可能性があるためです
実際に2Qのみで見ると、赤字となっています
フロー型収益のビジネスモデルの大きな弱点がこの点であるとも言えます
また、今後の業績を見るうえでも、この件による影響により、交渉中の新規案件・新規顧客獲得が見送り、大型プロジェクト案件の開始が先送りになるなど、影響が大きく出てしまっています
影響は当面の間は続くと見込まれ、2023.3期通期でも業績予想が公表されましたが、35%の減収、80%超の減益と厳しい予想となっています
視点②影響に対する耐性
この件により大きく業績が落ち込んだ場合に、手元資金のみでも約1年半ほどは事業継続は可能と推測できます
借入等も視野に入れるならば、事業継続期間は最低でも2,3年程度は可能ではないかと見ています
irj社の元々のデータベースとノウハウによる実績と能力からすれば、うまく悪い印象をこの期間に払拭できれば、業績回復自体はそこまで難しくはないはずです
ただし、代表取締役社長の交代など経営に大きく影響を及ぼす状況にもなっており、現時点では見通しは不透明です
視点③回復した際のメリット
メリットとしては、今回の株価の大暴落により、irj社が回復した際には超高配当銘柄へ大化けする可能性がある点です
irj社は高配当性向で配当金額は2022.3期113円、2023.3期も113円予想です
また、7期連続での増配も継続中です
株価が現在のような2,260円を下回るような水準であれば、利回り5%以上の高配当&高成長期待の銘柄となり、成長を続ける限り配当利回りも成長を続けます
リスクはもちろんそれだけ高いですが、これだけの期待ができるタイミングはなかなか巡ってきません
現在の株価は割高?割安?
まだ定かではないですが、ダイヤモンドオンラインにてirj社に関する疑惑記事が2022年11月10日に掲載されました
真偽のほどはまだわかりませんが、この件もあったためか株価は下落、業績も大きく低迷したことにより本日の株価から明日以降は急落が濃厚な状況です
今後については、今回の記事やこれまでの一連の騒動の結果が明確になり、今後に向けた新体制の本格始動により、どの程度業績が上向くかがある程度明確になるまでは、投資候補としては除外せざるを得ない状況です
また、何か動きがあれば順次更新していきます
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:6035/㈱アイ・アールジャパンホールディングス
設立年/上場年/上場市場:2015年(前身は1984年設立)/2015年/プライム
業種コード/業種:9050/サービス
決算月:3月
事業内容:エクイティ・コンサルティングを主業。IRやSR、M&AなどのPAやFAなど資本市場に関するあらゆるサービスを提供
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.3(会社予想):5,437(▲35.3)/530(▲84.8)/575(▲83.5)/390(▲84.0)
- 22.3:8,402(1.4)/3,489(▲14.5)/3,477(▲14.6)/2,434(▲13.1)
- 21.3:8,284(7.8)/4,080(12.5)/4,070(12.7)/2,802(14.6)
- 20.3:7,682(59.1)/3,626(152.8)/3,611(149.5)/2,445(150.3)
- 19.3:4,827(16.8)/1,434(24.0)/1,447(25.1)/976(18.9)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください