ここでは日本動物高度医療センター(以下、JARMeC)について、
投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します
各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです
2022.11.4第2Q決算更新
目次
ココが投資ポイント
JARMeCについての投資ポイントです
- 犬猫向けに高度医療を提供する動物病院、地域の動物病院と連携で二次医療に特化
- 現在は東京,川崎,名古屋に医院を開設し、2023年3月に大阪院を開設予定
- 初診数、総診療数、手術数などのKPIは微増ながらも継続的に増加
- 各地域の動物病院との提携も継続的に増加(2022.3現在でカバー率32.4%)、地域別にムラがあり
- 2023.3期は2022年3月に子会社化したテルコム㈱の寄与により、大幅に業績向上を計画
- 2022.3期末の借入金残高39億円超と過多
- 2023.3期第2Q実績:
売上高:1,915(33.3%)
営業利益:293(60.8%)
純利益:197(55.4%)
単位:百万円(前年同期比%) - 現在の株価に対する2023.3期計画値はPER12倍程度
KPI:重要業績評価指標/業績管理評価のために重要な指標で、業績の進捗を測る上で重要となる指標
これらの投資ポイントから注目
すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 2023年3月の大阪院開院への期待
- テルコム㈱の子会社化による好/悪影響
- 借入金残高とCash創出力とのバランス
これらの視点の根拠を順に見ていきます
視点①大阪院開院への期待
JARMeCの大きな成長を担うのは、大規模医院としては4拠点目になる大阪院の開院です
各地域の動物病院との連携比率を見ても、拠点のある関東圏および東海圏は40%超と高いカバー率である一方、
近畿圏および以西では10%前後と低いカバー率となっています
大阪院が開院すれば近畿圏はもちろん、特に比率の低い中国圏および四国圏はかなり伸びてくると予想されます
また、これにより初診/再診数、手術数も大幅な増加が見込まれ、一方で人件費や大阪医院に係る費用は先行投資として既に一部は発生しています
これらのことから2024.3期以降は、費用増に対して収益の増加は大きくなると想定しています
2021.3期および2022.3期の2期間の業績低迷は、大阪院開院に向けた先行投資となる積極的な人員採用と育成費、大阪医院の設立に向けた準備費用によるところが大きいです
視点②子会社化による好/悪影響
2022年3月にテルコム㈱を取得、その取得費用は9.4億円程度と取得前の総資産が56億円程度だったことからかなりアグレッシブなM&A投資だったと言えます
また、その資金のほとんどを借入に頼ったため、大阪院への先行投資分も含めて2022.3期の借入額は、14億円近くと多額です
借入金が39億円強で総資産に占める借入比率は56.3%、財務状態としては借入過多となっています
毎年6億円前後の返済が発生している状況を鑑みて、この借入過多と返済額が悪影響となる点です
テルコム㈱および大阪院開院でのCash創出力の増加が期待されます
テルコム㈱について、開示資料から最新の2021.7期業績では
売上高7億円
営業利益1.6億円
当期利益1億円
で過去数年を見ても成長してきている子会社です
この子会社取得によるのれんの発生が4.8億円ということから、その年間費用を差し引いて営業利益で約1億円程度を想定
取得額を10年以内で回収できれば、高くはない買い物ではなかったという点で好影響材料です
テルコム㈱の業績寄与が2023.3期の増益要因、JARMeCのみでの成長は2023.3期もほとんどない業績計画です
ただ、2023.3期第2Qまでの実績を見る限りは、テルコム㈱の業績寄与とともに本体も伸び率は低いものの、着実に業績は伸ばせているようです
視点③借入残高とCash創出力とのバランス
既に書いたように、借入残高:39億円超と総資産に占める割合が56.3%、年間返済額:6億円前後と利益水準からするとかなりの借入過多の状況です
一方、テルコム㈱連結化前の2022.3期の営業活動によるキャッシュフローでは5.5億円、これにテルコム㈱から約1億円Cashが創出できれば返済額をカバーできる想定です
2023.3期上期だけをみると、
純粋営業Cash創出約5億円(純利益+減価償却+のれん償却)で借入金返済約3億円と約2億円分のプラスです
他には納税資金や大阪院等での投資が約2.4億円ほどの支出がありますが、事業でのキャッシュ創出に対する借入返済は大きくプラスであることは安定性から見て安心できるポイントです
JARMaCの事業は動物医療が中心で景況感などに左右されにくく、崩れにくい事業モデルと言えます
大阪院開設に向けた大きな投資は、先行して2022.3期までにも行われており、建物取得費用7億円とその他設備への支出が2023.3期に発生すると見ています
2023.3期もこれら支出を賄うために借入先行の状況となりそうですが、大阪院開院すればCash総出力は向上し、返済にも対応できる可能性が高いと見ています
補足:2023.3期第2Q実績の考察
現在のところ短信しか発表されていないため、情報が限定的で分析が難しいのですが、まず業績は、
売上高:1,915(33.3%)
営業利益:293(60.8%)
純利益:197(55.4%)
単位:百万円(前年同期比%)
と第1Qに続き第2Qも好調です
ただし、前期にテルコム㈱を子会社化しているため、わかる範囲でその影響を除くと、
売上高は6%程度の増収とほとんどがテルコム㈱の寄与ですが、着実には本体も伸びてはきています
また、全体で営業利益も109百万円の増益ですが、過去のテルコム㈱の業績から推測すると、テルコム㈱だけで90~100百万円程度の利益が出るはずのため、
営業利益も売上高同様にほとんどテルコム㈱の寄与によるところで、本体は小さいながらも成長を続けている状況です
KPIとしては、初診数が8.4%増、手術数は14.6%とそれぞれ1Qからも増加しており、この点は順調と言えそうです
一方、総診療数は前年同期比▲0.6%と減少しており、この点は頭に入れておく必要はありそうです
2023.3期はおそらく、テルコム㈱の寄与によるところがほとんどになる予想ですが、ここで足固めをしつつ、2023年3月頃の大阪院開院が2024.3期以降の成長に寄与することは間違いないと考えます
現在の株価は割高?割安?
現在の株価に対する2023.3期計画値のPERは12倍程度とグロース株というほどには高くなく、かといってバリュー株でもないと判断が難しい水準です
現時点では、割安と判断するにはまだ時期尚早かもしれません
ただし、購入検討にはいい時期が近ついてきたと見ています
購入前に検討しておきたい点として、
視点②と補足のテルコム㈱が子会社後の2023.3期からどの程度業績に寄与しているか、また、視点③の借入返済に対してCash創出力がどうかの2点の分析
これらが問題なく、視点①の2023年3月から大阪院が予定通り開院ともなれば、2024.3期は2022.3期と比較して大幅な増収を期待できます
また、何か動きがあれば順次更新していきます
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現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:6039/㈱日本動物高度医療センター
設立年/上場年/上場市場:2005年/2015年/グロース
業種コード/業種:9050/サービス
決算月:3月
事業内容:犬・猫向け二次診療における高度医療に特化した動物病院。各地域の動物病院と連携強化
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.3(会社予想):3,860(29.6)/535(21.8)/540(22.9)/365(27.2)
- 22.3:2,979(4.6)/439(8.3)/438(6.7)/286(0.6)
- 21.3:2,847(4.2)/405(▲5.8)/410(▲8.9)/285(▲8.8)
- 20.3:2,734(6.6)/430(8.4)/450(11.4)/312(6.1)
- 19.3:2,563(13.5)/397(41.9)/404(53.7)/294(41.7)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください