ここではアルチザネットワークス(以下、アルチザ)について、
投資の参考にできる情報と視点、将来性、割高/安の判断などを紹介します
各所に記載している数値は2022年12月執筆現在のものです
2022.12.8第1Q決算更新
目次
ココが投資ポイント
アルチザについての投資ポイントです
- 通信業者へのテスター販売や基地局のテストサービスが主力、その他ネットワークの運用保守に関する製品の販売・サービスを展開
- 通信業者は5Gへのインフラ投資も旺盛であり、需要が高い
- 売上高は増収を続けており、利益も2019年7月の黒字化から高成長を継続
- 売上高営業利益率:
2021.7期実績:20.6%
2022.7期実績:32.2%
2023.7期計画:27.9%
高収益かつ成長中 - 販管費に占める研究開発費が高い
- 2022年3月に㈱シー・ツー・エム(以下、C2M)を子会社化
売上高:4億程度上乗せ - 2023.7期第1Q実績:
売上高:1,111(26.9%)
営業利益:168(0.3%)
純利益:109(41.4%) - 2023.7期計画:
売上高:5,230(15.1%)
営業利益:1,461(▲0.1%)
純利益:1,075(▲2.0%)
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 成長市場にポジショニング
- 事業の成長性が高い
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①成長市場にポジショニング
実際には通信事業者の投資額は、2022年度をピークに、減少傾向となることが予想されています
これは通信大手3社に続き、楽天モバイルも2022年度までは大型投資を続けてきたが、今後の投資額が縮小傾向になるとしており、
大手3社もこれまでと同水準、または、減少する計画となっています
以下の表は、IDCがまとめた国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場の2021年~2026年の支出額予測で、上記はこの予想に基づいています
棒グラフが支出額(億円)、折れ線グラフが成長率(%)です
IDC-国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場予測
※出典:IDC「国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場 支出額予測、2021年~2026年」
一方、アルチザは基地局の設置時だけではなく、運用や保守の分野でも展開しており、基地局自体は5Gを中心に、当面増加傾向にあります
アルチザの主要取引先は、通信大手各社、富士通やNECなどの国内ベンダー、エリクソンやノキア、ファーウェイなどの海外ベンダーなどとなっており、国内外大手が主要取引先となっています
現在は海外への販売へも力を入れており、海外での売上増加も期待できる状況であり、その意味でも成長市場へのポジショニングができているとの考えとしています
視点②事業の成長性が高い
「成長性が高い」とは書きましたが、高PER銘柄ほど高いというわけではなく、M&Aなどの要因を除けば増収ペースだと、年率10~20%の成長率と見ています
これを成長性が高いと考えるかどうかは、それぞれの捉え方と思います
ここで書いておきたいポイントとしては、
- 通信インフラ整備の分野において、重要なポジションを獲得できており、多くの国内外大手との取引が確保できていること
- 研究開発費にも積極的な投資を継続しており、赤字であった時期も積極的に先行投資を続けてきたこと
がアルチザの強みと考えています
今後は国内では比較的安定的に収益を稼ぐことができると見ており、海外での展開にもすでに海外大手との取引もあることから、大いに期待できます
また、新規事業や既存事業の派生事業への取り組みも積極的であり、早くから積極的に先行投資を行ってきた社風と、それが着実に業績につながってきた実績にも、十分な魅力があると感じています
研究開発費においては、販管費の60%超、売上高に対しても28%(いずれも2022.7期実績)と、高い比率で投資を行ってきており、競争力の源泉ともなっています
この売上高に対する28%もの先行投資(研究開発費)を除けば、営業利益率は60%近くまで上昇し、非常に高収益な事業を展開できているとも見て取れます
私の個人的な見解ではありますが、おそらく上記の比率は、事業規模拡大とともに比率が下がってくると見ており、それにより利益率の上昇による、利益の成長も期待できると見ています
補足:2023.7期第1Q実績と2023.7期計画への考察
まず2023.7期第1Q実績から見ていきます
2023.7期第1Q実績:
売上高:1,111(26.9%)
営業利益:168(0.3%)
純利益:109(41.4%)
次の2023.7期通期計画と比較すると非常に進捗率が悪く見えます
しかし、アルチザは第2Qに大き売上利益が伸びる傾向の会社のため、次の2Qで1Qの2倍近い売上高となる予想です
増収率の割に営業利益が伸びていない点については、
- C2Mを子会社化したことにより売上が上乗せされるも利益面での寄与がほとんどないこと
- 当初計画において将来の成長投資のために、研究開発費や設備投資、人材投資を積極的に行う予定であること
の2点が影響していると見られます
ここで大事な視点は、これらの要素を除いた事業の本質がどれだけ成長しているか、です
次に2023.7期の計画です
2023.7期計画:
売上高:5,230(15.1%)
営業利益:1,461(▲0.1%)
純利益:1,075(▲2.0%)
2023.7期に影響の大きい要因が、2022年3月にC2Mを子会社化したことです
C2Mの業績は開示されていませんが、会社HPに2021年度の売上高が3.7億円とあり、多少の成長を見込んでも、売上想定の4億円程度が加算されます
ただし、2022.7期も3ヶ月程度は加算されているはずなので、2022.7期から2023.7期への実質的な加算は3億円程度かなと見ています
とすると、2022.7期から2023.7期の売上高の伸びが8億円程度、そのうちC2Mが3億円上乗せと考えると、5億円程度がアルチザ本体の伸びではないかと想定しています
2022.7期はC2Mの影響を除けば、4億円程度ですので、2023.7期もアルチザ本体の伸びも堅調と言えます
一方、利益ベースが若干でも減益計画となっている理由です
2022.7期の売上高営業利益率が32.2%と過去と比較しても、非常に高い実績となったことが要因と推測しています
会社の説明では、利益率の高い案件を受託することができたことを要因としており、2022.7期の利益率は出来すぎだったとも言えます
また、将来の成長投資のために、研究開発費や設備投資、人材投資を積極的に行う予定であるとも説明されています
この点は、前向きな理由であるため今期のみの利益成長の鈍化であれば、逆に株価下落を狙った買いも狙えますし、今後は成長投資を除く事業の本質的な伸びに着目です
なお、利益の伸びは鈍化すると言えども、C2Mの買収含めても、売上高営業利益率:27.9%の非常に高い利益率の計画です
これには多くの研究開発費やまだ利益率が低いと予想されるC2Mが含まれたうえでの数値です
見た目上は業績の利益面があまり伸びていないように見えますが、会社の事業としては順調と言え、これにC2Mを子会社化したことによるシナジー効果も発現されれば、今後の継続的な成長も期待できます
現在の株価は割高?割安?
2022.7期本決算発表後は株価はズルズルと下落し、一時1,000円近くまで下落しました
今回の第1Q決算後でも1,000円近くまで下落しました
この辺りでは、PER:9倍程度と低く、将来性を考えれば十分に勝負できる水準と見ています
ただし、決算後下がったことからあまり早急にインすることなく、まずは落ち着くまで静観、その後に割安とご自身で判断できればインを検討してください
また、何か動きがあれば順次更新していく予定です
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:6778/㈱アルチザネットワークス
設立年/上場年/上場市場:1990年/2001年/スタンダード
業種コード/業種:3650/電気機器
決算月:7月
事業内容:通信業者向けの基地局のテスト・計測製品の販売やテストサービス等が主力、他にネットワーク運用・保守の製品やサービスを展開
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.7(会社予想):5,230(15.1)/1,461(▲0.1)/1,447(▲1.8)/1,075(▲2.0)
- 22.7:4,542(12.1)/1,462(75.1)/1,73(78.1)/1,097(38.3)
- 21.7:4,050(25.4)/835(90.6)/827(106.8)/793(80.5)
- 20.7:3,231(22.9)/438(489.6)/399(502.0)/439(273.5)
- 19.7:2,630(12.6)/74(-)/66(-)/117(-)
- 18.7:2,335(17.3)/▲672(-)/▲674(-)/▲856(-)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください