日本株/個別銘柄

【投資ポイント】7226 極東開発工業

ここでは極東開発工業(以下、極東)について、

投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します

各所に記載している数値は2022年8月執筆現在のものです

2022.8.4第1Q決算更新済

目次

ココが投資ポイント

極東についての投資ポイントです

  1. 主力の特装車事業では国内総合首位、他に環境事業とパーキング事業を展開
  2. 中国、インド、インドネシアに工場を持ち、世界への展開拡大
  3. 海外売上高はまだ小さいが2022.3期は大きく伸びる
  4. 会社全体と特装車事業の売上高は伸び悩み、営業利益は低迷中で2023.3期も減益計画
  5. 環境事業はフロー → ストック型への収益移行がうまくできたビジネスモデル、2022.3期は増収増益
  6. パーキング(旧不動産賃貸)事業は売上・利益とも横ばいで推移、賃貸不動産の売却により2023.3期計画は減収減益見込み
  7. ファンドによる株主提案を受け、株主還元促進など対応
  8. 発行済株式総数の5%を上限とした自己株式の取得を発表、株価急騰
  9. 2023.3期第1Q実績:
    売上高:23,495(▲9.1%)
    営業利益:▲50(-%)
    純利益:188(▲84.1%)
  10. 現在の株価に対する2023.3期計画のPER:14.6倍、2022.3期末のPBR:0.51倍
  11. 配当金額:54円/株、配当利回り3.7%

これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・

投資ポイントの視点

  1. 海外事業の成否
  2. 特装車事業の値上げ
  3. 利益を支えるその他資産
  4. ファンドによる株主提案への対応

これらの視点を詳しく見ていきます

視点①海外事業の成否

まず国内事業は低迷で大きな成長見込みなしです

理由は、特装車事業もパーキング事業も業界全体のマーケットは縮小傾向であり、パイの奪い合いでは成長を見込めないこと

環境事業はリサイクルやごみ処理などのプラント建設や運用受託、保守であるため、極東の建設した施設が増えれば運用受託/保守のストック収益が積み上がるビジネスモデルです

環境事業だけは国内でも伸びる可能性はありますが、他の2事業の低迷を補なって国内事業全体の成長を見込めるほどではありません

海外は各事業ともに地域によっては十分な需要を見込むことができ、市場開拓がうまくできれば、大きく成長するポテンシャルは十分にあります

そのため、本業3事業については、国内がこれ以上低迷せずに持ちこたえ、海外事業が成長するかがポイントとなります

視点②特装車事業の値上げ

視点①では、「国内事業は低迷で大きな成長見込みなし」と書きました

ただし、唯一期待できるのは、2023.3期から順次特装車および関連部品に関して5~15%程度の値上げに踏み切ったことです

これにより販売台数は減少すると見られますが、値上げしても国内需要の減退により、減少は覚悟しないといけないことでもあります

また、原価高騰の影響を販売単価へ転嫁する流れは、日本でもとうとう受け入れざるを得ない状況になってきました

そのため、この値上げは業績にはポジティブに働くと見ています

原価低減には引き続き取り組みつつも販売価格の値上げにより、適切な利益を獲得する形がどの程度受け入れられていくか、2023.3期はそのポイントになります

視点③利益を支えるその他資産

現在の株価に対する2022.3期末の純資産のPBR:0.51自己資本比率:73.0%です

業績が低迷する日本の製造業にありがちな、自己資本比率は高いがPBRが1倍を大きく割る状況です

ここで見ていきたい点が資産の内容です

2022.3期は賃貸用不動産のほとんどを売却したことにより多額の売却益を出し、最終利益は最高益を大幅に更新しました

また、2022.3期末のBSには

流動資産の有価証券:115億円
投資その他の資産の投資有価証券:140億円
純資産の部のその他有価証券評価差額金:46億円

となっています

これは簡単に説明すると、

有価証券(政策保有株)をすべて売ると255億円もの資金が捻出でき、ここから税金は引かれますが、税引後の利益が46億円発生するということを意味しています

現在の時価総額が約600億円、その40%程度を事業と関係性の薄い有価証券で保有しているような状態です

賃貸用不動産は大半を売却済ですが、残りが時価ベースで30億円、ここからもそれなりの利益が出るはずです

これはあくまで2022.3期末の評価時点のため、保有している有価証券の株価などの価格変動により増減はしますが、この程度の利益を本業とは別に捻出できることを示しています

有価証券および賃貸用不動産については、今後も売却を進めていく方針が示されており、利益の底上げ効果があります

視点④ファンドによる株主提案への対応

2022年4月19日にファンドから株主提案権の行使書面を受領した旨の会社公表があります

提案の主な内容としては、

  1. 配当等の剰余金処分
  2. 賃貸等不動産の処分
  3. 自己株式の消却
  4. 政策保有株式
  5. 資本コストの開示

です

このうち2,4の内容については、視点③で書いた点です

他に投資家側として重視するのが1,3の株主還元部分です

2022.3期以降の配当金額は54円/株を下限とし、総還元性向:50%と積極的な株主還元の姿勢が示されました

また、6月6日付けに自己株式を除く発行済株式総数の5%を上限とする自己株式の取得を行う旨の公表がありました

そして、取得後の5%超を超える部分の自己株式は償却する方針です

現在、7%近くの自己株式を保有しており、5%近くを追加取得、その後5%を超える部分を消却ということで、最大7%近くの株式が償却されることになります

これらの点は、ファンドからの株主提案への対応措置であると推測できます

この自己株式取得の公表後に株価は急騰しました

この自己株式の取得は2022年7月1日から2023年6月30日の期間となっており、この期間の極東の株価を下支えするプラス要因にもなります

補足情報

補足情報として、

1つ目、代表取締役会長髙橋氏が2023年6月28日をもって退任予定となっています

髙橋氏は2013~2020年の7年間、代表取締役社長として会社をけん引され、この間の極東の業績回復&成長には目を見張るものがあります

2020年6月からは開発・生産畑から昇進されてきた布原氏が代表取締役社長を現任されています

この世代交代が次の新たな経営戦略にどう影響を及ぼすのか、新中期経営計画が実際に達成されていくのか注目です

2つ目、私が公認会計士として、また、事業会社でも資本政策やIRにも携わっていたことから気になる点です

決算説明資料なども作成されており、IR活動に消極的ではないのですが、正直言ってクオリティ面は早急に改善が必要と感じています

役員の経歴や社内の組織構成を見ても、IRが総務部対応となっており、社内にIR資料などの専門知識を持ったマネジメントできる役員および専門スタッフがいないのではないかと推測してしまいます

おそらく資本政策などもこれまでの実績や資料を分析する限りでは、残念ながら同様に改善が必要なレベルと推測します

海外事業の拡大とともに、今回のファンド対応など含めてIRや資本政策などを専門でマネジメントできる人間および部署の採用・設置は急務と感じています

現在の株価は割高?割安?

現在は上記の急騰は一時1,383円、と直近の安値1,242円からは10%程度高い水準となっています

これはこの公表による人気化によるところが大きく、既に下落を始めています

そのため、まだしばらく下がるとして様子を見、個人的には1,250~1,300円頃が買い時と見ており、そこまで下げてきてほしいところです

配当予想が54円/株のためこの水準まで下がると、配当利回り4%台まで上昇し、高配当株としての旨みも出てきます

また、2023.3期業績は大幅なマイナス成長になっていますが、特装車事業の値上げによる利益率向上や政策保有株の売却促進を加味した場合に、当期利益の上振れを予想しています

また、何か動きがあれば順次更新していきます

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会社概要

証券コード/銘柄名:7226/極東開発工業㈱

設立年/上場年/上場市場:1956年/1989年/プライム

業種コード/業種:3700/輸送用機器

決算月:3月

事業内容:特装車の製造・販売を主力事業に環境事業、パーキング事業を展開。特装車事業は総合首位

売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円

  • 23.3(会社予想):116,000(▲0.8)/5,500(▲21.1)/6,000(▲20.7)/4,000(▲72.0)
  • 22.3:116,910(▲0.2)/6,974(▲23.2)/7,567(▲18.2)/14,274(110.7)
  • 21.3:117,170(▲2.5)/9,080(6.9)/9,253(6.7)/6,774(11.5)
  • 20.3:120,173(5.1)/8,493(▲0.7)/8,675(▲1.6)/6,073(▲3.4)
  • 19.3:114,301(1.4)/8,554(▲16.5)/8,817(▲14.6)/6,284(▲12.6)

最後に

僕は日本の個別株への投資をメインにしています

また、その中でも成長性の高い株です

そのため比較的リスクは高めなものが中心です

これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています

その中で自分なりに分析して勝負する

時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、

そして、利益を積み上げることができたと思っています

投資はどうしても自己責任を伴うものです

どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです

なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです

ここまで読んでいただいてありがとうございます

一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!

注意事項

※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください

記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです

そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません

また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください

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