ここではアシロについて、
投資の参考にできる情報と視点、将来性、割高/安の判断などを紹介します
各所に記載している数値は2022年12月執筆現在のものです
20222.12.15決算更新
目次
ココが投資ポイント
アシロについての投資ポイントです
- 法律事務所・弁護士紹介の各種サイト運営が主力、他に弁護士に関する人材紹介業、法トラブルに関する保険事業を展開するリーガルテック企業
- サイトは掲載顧客(弁護士事務所など)からの広告収入が主体
- 掲載顧客数は公表されている2020年11月以降は1月のみを除き、増加を続ける
2022.10期も前年同月比20~30%増加で推移
解約数は月次2%と高め - ストック収益比率は62%程度(2022.10期実績)
- 2022年4月に保険事業の㈱カイラス少額短期保険を子会社化
- M&Aや成長投資も行いながらも営業利益率:20%台確保と高収益体質
- 2023.10期は成長投資期間の位置づけによる大幅減益計画
- 2022.10期実績:
売上収益:2,202(41.8%)
営業利益:484(34.0%)
純利益:344(50.2%)
配当を開始 - 2023.10期計画:
売上収益:2,861(29.9%)
営業利益:80(▲83.5%)
純利益:33(▲90.5%)
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 市場のポテンシャル
- 事業の成長性
- ストック型ビジネス
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①市場のポテンシャル
顧客のメインは法律事務所および弁護士であるため、それぞれの数を見てみると、
弁護士は、2021年3月時点で正会員総数:4.3万人(前年比:1,042人増)※1、1950年から現在まで右肩上がりで増加を続けており、今後も当面は増加が続くと見られます
個人事務所を含む事務所の数も、同時点で17,772事務所※1と、こちらも弁護士数の増加とともに増えており、複数の弁護士所属する事務所および法人も増加しています
アシロのサイトへ掲載している顧客数が2022年11月時点で785※2のため、まだ全体の4%程度とこれから獲得できる潜在マーケットの規模としては、申し分ない段階です
人材紹介業においても、弁護士数の増加だけではなく、企業内弁護士の増加、弁護士への社外役員の依頼など年々重要性を増しており、軌道に乗れば次の成長事業として期待ができる市場です
※1出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2021年版」
※2出典:㈱アシロ「主要事業の掲載顧客数(2022年11月度)のお知らせ」
視点②事業の成長性
視点①で市場のポテンシャルを見ましたが、その市場の中でアシロの事業をどれだけ展開していけるかです
まずは法律事務所紹介のサイト運営の事業ですが、
法律は非常にセンシティブな分野で、法律や弁護士会などによる厳しい規制があり、これらが大きな参入障壁となり、現在も競合が少ない状況です
Googleの検索でも、同様の理由により、信頼ある機関が検索上位に上がるアルゴリズムになっているはずです
そのため弁護士や法律事務所の紹介サイトでは、まず「法テラス」や弁護士会など公的機関系のサイトが出てきます
民間系サイトでは、弁護士ドットコムが知名度、信頼度ともに他を圧倒しているようです
他には、「ココナラ法律相談」などがあり、アシロも2番手あたりには位置しており、検索の1ページ目には安定して登場してきます
他に「離婚」や「相続「など、アシロが分野別のサイトを独自に運営していますが、これらでも分野別で検索すると、1位または検索上位には登場してくるので、SEO面でも高い信頼性は勝ち得ています
ただし、掲載顧客数が直近で785事務所ということは、この中から法律事務所を検索するため、検索サイトとしてはまだ規模が小さいことが不安要素になります
運営する「離婚弁護士ナビ」で151件、「相続弁護士ナビ」でも同水準の掲載事務所数であるため、分野別にするとさらに数が絞られ検索サイトとしての規模として、物足りなさも感じます
他サイトとの決定的な差を付けるほどのシェアや優位性がない限り、安定性にまだ懸念があります
現在も順調に掲載数は増えてはいますが、欲を言えば何かしらの対策を講じ、顧客獲得数をもっと増やす、また、解約率を月次なら最低でも1%未満まで下げていきたいところです
そのための2023.10期および2024.10期を成長投資期間とし、長期的な成長と早期の規模およびシェアの拡大を図る期間とする必要があったと推測もされます
念押しはしておきますが、成長は順調で有望な事業であることは間違いありません
次に、人材紹介業や保険事業ですが、これらは立ち上げてまだ間もなく、実績も小さいですが順調に成長を始めている状況です
売上収益では、人材紹介業がアシロでの2022年10月期で106百万円、保険事業は買収子会社での展開で、2022期10月期は29百万円です
人材紹介業においては、売上収益は急成長し、人材登録者数も順調に増えており、両事業と主力のサイト運営事業との親和性も高い事業でもあるため、弁護士・法律に特化した差別化で、
中長期的な高成長および事業バランスのリスク分散という点でも期待できます
視点③ストック型ビジネス
アシロの売上収益全体に対するストック型収益率は60~70%程度と、ストック型ビジネスを展開する企業の中でも高い比率です
理由は収益のほとんどが、サイト運営による掲載顧客からの収入によるためですが、ここが安定的であれば大きな強みです
2022.10期は62%程度まで下がっていますが、これは新規顧客獲得や派生メディア事業が好調による、スポット収益が取れている好影響によるもののため、ストック収益は順調に拡大しています
視点②の説明と重複する部分にもなりますが、サイト運営は順調に顧客数を増やし、成長率としては申し分ないものの、シェアとしてはまだまだ小さく、解約率も2%と高めです
事業自体の安定性にはまだ不安が残りますが、魅力ある事業です
このまま継続的に伸びる限りは、安定感が増していくはずです
ストック型ビジネスについては、他の記事などでもよく書いてますのでここに紹介しておきます
他のフロー収益は、サイトを通じた問い合わせに対する数×単価、人材紹介を通じた入社に対する成約手数料、保険収入になります
今後はフロー収益部分も伸びていくことで、収益割合としては、半々くらいになるまで各事業が成長すれば、事業バランスも良いリスクヘッジになってくると思われます
補足:2022.10期本決算と2023.10期計画の考察
2022.10期実績は、
売上収益:2,202(41.8%)
営業利益:484(34.0%)
純利益:344(50.2%)
と好調な成長を続け、以前に発表された上方修正の計画も超過しました
また、配当が開始されると発表されたことも好感を持たれるところかもしれません
営業利益の伸び率は、増収率に対して低いですが、これは広告費などの投資額を増額しているためであり、投資額を除く利益ベースでは高い増益率を継続できています
掲載顧客数も一時伸びが鈍化して懸念もありましたが、2022年10月、11月と足元では増加数は堅調に推移しており、また、新規事業であるHR(人材関連)事業および保険事業は高い成長率を見せており、成長性には期待ができます
次に2023.10期計画です
売上収益:2,861(29.9%)
営業利益:80(▲83.5%)
純利益:33(▲90.5%)
と高い増収率と比較して、大幅減益の計画が公表されました
大幅減益の要因として、中期経営計画の中で、2023.10期と2024.10期の2期間は成長投資期間の位置づけとなっており、投資額を
122(2022.10期実績) → 684(2023.10期計画)
と大幅に増額する計画となっています
この投資額を除いた純粋な営業利益で比較すると、2023.10期計画は26%増となっているため、現在の株価水準から見ても悪くない成長率です
この先行投資期間をどう見るか、また、この成長投資によるどれだけ実際に成長できるかはこれからによりますが、
早期の規模とシェアの拡大を図りたいという会社の判断としては、間違っていないはずです
個人的には、成長が加速し、2023.10期も2022.10期同様に上昇修正による計画超過も期待したいところです
現在の株価は割高?割安?
アシロは2021年7月の上場とまだ間がなく、株価形成も十分になされていない状況です
株価変動を除けば、有望な市場で安定的な成長を見込める事業を展開できており、PERも20倍程度と伸びとの比較では、割安と言える水準です
株価に注意し高値買いを避けながらうまく拾えると、長期的には利益を取れるのではないかと考えています
なお、直近の株価の状況では、
第1Q発表後は上昇
第2Q発表後は下落
上方修正発表後は一時上昇するも下落
第3Q発表後も下落
となっています
本決算発表後も2023.10期計画が大幅減益計画のため、株価の急落が予想されます
まだ当面は上下変動が大きくなる可能性がありますが、様子を見つつ安値で徐々に買い増しする形でのインが良いと思われます
また、何か動きがあれば順次更新していきます
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:7378/㈱アシロ
設立年/上場年/上場市場:2016年/2021年/グロース
業種コード/業種:9050/サービス
決算月:10月
事業内容:リーガルテックで法律事務所の紹介や相談、法律に関する保険サービス提供などを展開
売上高/営業利益/税引前利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.10(会社予想):2,861(29.9)/80(▲83.5)/75(▲84.2)/33(▲90.5)
- 22.10:2,202(41.8)/484(34.0)/477(34.7)/344(50.2)
- 21.10:1,553(5.0)/361(8.5)/354(9.5)/229(10.0)
- 20.10:1,479(27.8)/333(-)/323(31.4)/208(32.9)
- 19.10:1,156(39.1)/-(-)/246(-)/156(-)
- 18.10:831(23.4)/-(-)/1(▲97.9)/▲55(-)
※2021年上場より開示されている過去の営業利益の記載なし
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください