ここではCYBERDYNE(以下cd社)について、
投資の参考にできる情報と視点、将来性などを紹介します
各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです
2022.11.14第2Q決算更新
目次
ココが投資ポイント
cd社についての投資ポイントです
- 装着型サイボーグ「HAL」の開発・販売が主力で、医療や福祉分野がメイン領域
- 収益は「販売」、「レンタル」、「(個人向け中心の)サービス」の3形態
- 難病、疾患などの病気に伴う運動機能の低下や悪化に対する治療や治験を推進
- 米国を中心に海外での成長期待が大きい
- 2022.3期は2社を買収にて子会社化、約20億円の支出
- 2022.3期売上高18~19億円、ほぼ横ばいor減収の水準
実績値は14.7%増収だが子会社化した2社分を除外、影響分は3億円程度と推測 - 営業利益黒字化に40~45億円程度の売上が必要
- 現預金および金融資産の合計:320億円程度あり、資金面は非常に豊富
- 2023.3期第2Q実績:
売上高:1,542(86.9%)
営業利益:▲442(-)
純利益:268(-)
単位:百万円(前年同期比%) - 為替差益および金融関連収益による営業外収益が8億円近く計上
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 事業の状況
- 海外での成長期待
- 黒字化の目線
- 業績と財務面の状況
これらの視点を詳しく見ていきます
視点①事業の状況
事業のメインである「HAL」は、歩行などの身体機能のサポートや改善などを目指した装着型サイボーグです
主力とする分野は医療および介護などの福祉であり、その他建設などの作業現場などへも利用拡大を目指しています
社会的にも意義の大きい事業ではありますが、cd社の認知度や製品の対象者、利用シーンが限定されるなど市場がまだ小さく、事業の拡大に苦戦している状況です
ここ最近の売上も2022.3期を含む3期間は、年平均3%程度の成長しかありません(2022.3期は子会社化した2社の影響除外)
cd社単体での成長は時間を要する状況です
この状況の打開のために、新たに2社を子会社化したと見ています
1社は米国の外来リハビリテーションのクリニックなどの拠点を展開している、RISE Physical Therapy,Inc.(以下、RISE)です
これにより米国にてRISEが従来から提供するリハビリテーションに加えて、cd社の「HAL」を利用してもらうことで、利用者の増加とともに認知度の向上などcd社にとってメリットの高い買収と見ています
2社目がアプリ「熟睡アラーム」を開発・運営する㈱C2(以下、C2)です
cd社は疾病の予防・早期発見を目的とした小型バイタルセンサーの開発・多機能化を推進しており、C2のアプリとデバイスとを連携させることにより、ヘルスケア事業の拡大加速を目的としています
この「熟睡アラーム」はダウンロード数320万以上、アクティブユーザーが30万人/月とそれなりの規模のアプリでありますが、連携による事業拡大がどの程度になるかはまだ未知数です
視点②海外での成長期待
海外の売上高比率は、
2021.3期:17% → 2022.3期:30% → 2023.3期第2Q:53%
視点①RISEの寄与もありますが伸びてきています
一方で、2022.3期の日本国内の売上高は、C2の寄与約1.5億円程度を上乗せしたにもかかわらず、0.5億円ほど減収です
2023.3期2Qは、国内も0.8億円ほどの増収とはなっていますが、新規子会社の寄与を加味すると本業の伸びはほとんどないようです
このことからも国内での成長が厳しく、海外での成長に期待するところです
海外は2023.3期よりRISEが通期で寄与、英国ハンプシャー州議会との5年間で5億円規模の契約の通期寄与が確定しています
また、マレーシアやインド、タイなどに拠点を持ち、アジアおよび欧州での売上高は、まだ小さいものの2023.3期第2Qで70%近い伸びになっています
理由の1つに、「HAL」は海外が先行して医療機器の承認を受けており、
利用対象患者の推定数も
日本:1.5万人
米国:7.3万人
ユーロ:2.3万人
と海外展開がしやすい環境が整いつつあります
視点③営業黒字化の目線
営業黒字化のために必要な売上高は40~45億円程度を試算しています
新たに2社を子会社化後の研究開発費も含めた販管費水準は30億円、2023.3期第2Qの粗利率:64%程度を前提としました
会社計画では2024.3期の売上目標が50億円となっており、計画通りに順調にいったとして、2024.3期が黒字化の時期となります
個人的には、cd社が計画通りに成長できるような具体的な根拠に乏しく、黒字化目安の売上高45億円水準への到達は、2024.3期より遅れる可能性も高いと予想しています
海外事業の拡大が急がれるところです
視点④業績と財務の状況
現在のところは業績面は営業利益ベースで赤字を継続している状況です
そして、営業黒字化も視点③の通り、まだ厳しい状況です
一方で、金融収益が比較的多額で年間5億円前後を計上しています
2023.3期は第2Q時点で、為替も含めればすでに8億円の利益を計上しており、非常に順調です
この理由は、cd社が現金だけでも64億円程度保有に対して、金融資産が債券を中心に260億円程度保有と総資産の約半数を占めていることです
合計で320億円規模と換金化しやすい手元資産が豊富にあり、事業継続面からは全く問題ない水準です
財務面は比較的安定的であるため、黒字化の達成が待たれます
補足:2023.3期第2Q実績の考察
2023.3期第2Q実績は、
売上高:1,542(86.9%)
営業利益:▲442(-)
純利益:268(-)
と売上高は大きく増収、利益も営業損益はまだ損失の状態ですが、金融収益680百万円と多額の利益を稼ぎ出したことで、最終利益は黒字化を継続しています
売上については、視点①記載の買収した子会社RISEとC2の2社の寄与も含まれ、この影響が約600百万円程度とみられることから、実際の本体のみでの成長率は、15%程度の増収と試算されます
営業利益ベースでも、その他損益分を除けば同水準の営業損失のままであり、ほぼ本業収益の改善はできていない状況です
金融関連収益の835百万円のうち、為替差益相当:154百万円、評価益相当:638百万円となっており、金融関連収益のほとんどの要因となっています
この点は、運用が主事業でないため、為替益や評価益部分はあまり考慮に入れないほうが良いとの考えです
以上から、業績全体数値のみの前年同期比では、大幅増収、最終損益も損失から利益へ大きく転換と好調に見えますが、
実際の本業部分は、軌道に乗るにはまだ道半ばの状態であり、成長はしてきているが、視点③で紹介したような安定的経営となる黒字化までは、まだかなりかかるだろうという状況です
現在の株価は割高?割安?
上記の通り、赤字継続中であり、黒字化の見込みが立っていない状況では割高/割安の判断はできません
将来性にはまだ具体性に欠けていますが、財務面から見るとそろそろ投資しやすい株価水準に近付いてきたとも見れます
現在の株価は350円、9月28日の安値289円からは2割程度上昇してきています
ただ今後の相場見通しもcd社の業績も読めない部分が多く、株価上昇についてはあまり期待できないかもしれません
また、何か動きがあれば順次更新していきます
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:7779/CYBERDYNE㈱
設立年/上場年/上場市場:2004年/2014年/グロース
業種コード/業種:3750/精密機器
決算月:3月
事業内容:医療用や福祉などの分野で身体機能を高める装着型サイボーグ「HAL」の開発・販売が主力
売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.3(会社予想):会社公表なし
- 22.3:2,150(14.7)/▲868(-)/▲379(-)▲492(-)
- 21.3:1,875(4.6)/▲700(-)/408(348.9)/▲59(-)
- 20.3:1,792(4.8)/▲1,039(-)/91(-)/▲152(-)
- 19.3:1,709(▲1.1)/▲830(-)/▲569(-)/▲632(-)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください