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【投資ポイント】7809 壽屋(コトブキヤ)

ここでは、壽屋について、

投資の参考にできる情報とポイント、割高/割安を紹介します

2022.11.14第1Q決算更新

目次

ココが投資ポイント

壽屋についての投資ポイントです

  1. プラモデルとフィギュアを中心に企画および製造、販売
  2. ニッチではあるがコアなターゲットに対して確かな地位を築きつつある
  3. 自社IP(知的財産)のクオリティの高い製品を多く持ち、好調なアニメを背景に高い支持を得て販売は順調に成長
  4. 海外展開はまだ道半ばな段階で、海外での日本アニメの人気は依然として高く、海外でののびしろは大きい
  5. 近年はECでの販売が大きく伸長しており、海外売上の伸長はECによる売上が大きく寄与していると考えられ、今後も伸長が期待できる
  6. アジアでの伸長が安定的かつ大きな売上・利益への貢献2022.6期は北米・欧州も大きく伸びており、海外は今後の成長エンジンとして期待できる
  7. これにコロナ後のインバウンドも含めた小売りおよび卸売りの販売が復調すれば継続的な大きな成長を見込める
  8. 海外およびインバウンド消費について、円安の恩恵を大きく受けられる
  9. 売上高は四半期毎の変動が大きい(要因:ヒット商品の有無、3Qは中国委託工場が春節祭で休業、供給が遅延など)
  10. 2023.6期第1Q実績(単位:百万円)
    売上高:4,771(39.7%)
    営業利益:926(48.2%)
    当期利益:600(39.2%)
    計画に対して進捗は大きく超過
  11. 2023.6期計画
    売上高:16,000(11.9%)
    営業利益:1,800(▲23.0%)
    当期利益:1,222(▲24.6%)
    と増収も減益計画

PER:Price Earnings Ratioの略、株価収益率という1株当たりの株価に対してどのくらい利益を出せているかを測る指標
わかりやすくいうと、PER:時価総額(株価)が利益(1株あたりの利益)の何倍か

これらのポイントの根拠を説明していきますが、一言で言うと・・・

投資ポイントの根拠

ECでの売上が今後も伸長、これはアジアを中心とした海外売上の伸長が中心、海外での日本アニメ人気はまだまだ不動のものと考えられ、壽屋および取扱製品の認知度が上がれば海外市場での大きな成長が期待できるということ

え?一言で言えていないって?

少し長過ぎましたね

下に箇条書きにまとめました

  • ニッチではあるが国内外で人気の高いアニメ、そのプラモデルおよびフィギュアを中心に展開
  • EC売上の伸長
  • アジアを中心に海外売上の伸長と大きなのびしろ
  • 海外での認知度の向上
  • コロナ後の国内需要およびインバウンド需要の回復による小売りの復調と成長
  • 円安の恩恵

海外売上とEC売上が成長エンジンとして大きく貢献し、今後の成長の大きなポイントです

壽屋は会社概要に記載した過去の業績を見ていただいてもよくわかる通り、2019.6期と2020.6期は不調ながら2021.6期と現在の2022.6期は非常に好調です

これはなぜか?

まず不調の原因は、以前はアニメイトなどへの卸売りおよび小売が中心で、そこが不振になる(特にコロナによる外出自粛および海外顧客の喪失)と売上・利益に大きく影響が出た

一方で、2021.6期以降はEC販売を強化し、コロナの影響を受けにくく、かつ世界への販売も容易になり、

国内だけではなく、海外のアニメやフィギュア好きにアプローチできたことが大きな売上・利益の成長につながったと分析できます

アジアが大きく伸びて、直近では北米および欧州も前期比売上高100%超の増収率と急成長を始めています

海外はまだまだ開拓の余地が大きい市場です

また、追い風になるのが2022年からの円安です

特に欧米ほどインフレ率が高い現地価格水準に対して、日本ではインフレ率が比較的低く、かつ、現在の円安水準比較で、海外から見れば安く映るはずです

今後もまずはEC売上が海外を中心に安定的に成長し、コロナ後のインバウンドなどが戻れば小売り・卸売りの売上も伸長することも期待できます

注意すべきは商品生産を中国広東省にある委託工場で生産している点です

中国は春節祭のため工場がその期間操業停止、3Qの供給が遅延しがちで3Qの売上が他の四半期と比較して下がりがちです

実際に2022.6期の売上高も

1Q:34.1億円
2Q:37.8億円
3Q:33.1億円
4Q:37.8億円

と1,3Qは売上小、2,4Qは売上大です

この点を知っておくと短期の投資には役立ちます

これが簡単にまとめただけですが、過去の業績等から今後を見通した内容です

2023.6期業績計画と第1Qの実績の考察

2023.6期の業績計画は、

売上高:16,000(11.9%)
営業利益:1,800(▲23.0%)
当期利益:1,222(▲24.6%)

と増収も減益計画となっています

これにより株価は一時急落するも中期目線では上昇トレンドを持続しています

2021.6期、2022.6期と急成長を遂げてきたにもかかわらず、なぜ2023.6期は大きく減益計画となったのか

ちなみに過去の振り返りで、2022.6期の当初計画と実績を比較して見ます

・当初計画
売上高:11,500(20.5%)
営業利益:1,200(21.5%)
当期純利益:812(19.4%)

・実績
売上高14,292(49.8%)
営業利益2,337(136.7%)
当期利益1,621(138.4%)

と利益ベースでは、ほぼ2倍の利益なったことがわかります

また、業績の上方修正は2022.6期で2回、2021.6期も2回(いずれも上方修正)

2020.6期は下方修正が1回となっています

おそらくですが、2019.6期、2020.6期の業績が非常に悪く、その間に計画達成も厳しかったことなどから、業績計画はかなり保守的に作成されている印象が強いです

今回も現在の世界的な景気後退の懸念も大きくなってきており、将来の想定が難しくなっている状況です

そのことも重なり、下方修正をしなくてもよいような、かなり保守的な業績予想を出したと予想しています

そのため、大きな景気後退や壽屋に何か大きな出来事が発生するなどがない限り、この業績予想がボトムと見て高い確率で業績の上方修正となるのでは、と見ています

ただし、2023.6期は増収も減益計画となっており、この点は2022.6期の当初計画と大きく違う点です

会社資料からわかることは少ないのですが、短信および決算説明補足資料からわかることは、

売上高は、

国内:堅調な伸び(21.9%増)
アジア・北米:前期ほぼ同水準
欧州・その他の地域:前期比で大幅なマイナス

の計画となっています

海外事業をかなり保守的に見ていることがわかります

地域別に2022.6期の売上高の実績推移を見てみると、

国内:1,2Qは好調、3Qで下げてから4Q時点での回復が鈍い
アジア:2022.6期は期別の上下変動はあるものの同水準を推移
北米:年間通して大きな伸びを示す
欧州:金額はまだ小さいが4Qで大きく伸びる

これを見る限りでは、国内が厳しい一方、北米・欧州は好調のようにも判断できます

昨今のインフレや景気後退懸念の影響は読めませんが、北米や欧州は計画よりも増収となるのではないかと見ています

次に製造原価部分は、中国の委託工場が担っており、中国では輸入経由のものを除けば、大きなインフレは起こっておらず、景気後退懸念などからも、物流費以外での原価の大幅な上昇はないという予想です

直近2年間は原価率:60%程度で推移しており、2023.6期も多少上昇したとしても、61~62%を上限で想定してます

次に販管費ですが、4Qに大きくなる傾向があります

2022.6期年間の販管費:32.7億円、第4Qの販管費:9.9億円であったことから、2023.6期の販管費を予想してみると37~38億円程度が妥当かなというところです

以上から試算すると、

計画通りの売上高:160億円だった場合
→営業利益:23~24億円(2022.6期同水準)

売上高が計画超過した場合
→上記の営業利益予想から、売上高超過分の約40%が上乗せ

と最低でも売上高さえ計画並みに伸びれば、減益計画にはならないのではないか

個人的には増収増益の可能性も高いのではないか、と予想しています

売上高の計画はまずは第1Qの結果が出てみないと何とも言えませんが、利益ベースでは今回発表された計画値は、過度に保守的な計画ではないかと考えます

ここまでが本決算発表時での考察でした

今回の2023.6期第1Q実績が、

売上高:4,771(39.7%)
営業利益:926(48.2%)
当期利益:600(39.2%)

と利益ベースでは第1Q時点ですでに進捗率が50%程度まで達しています

計画比では売上高含めて非常に好調に推移していることがうかがえます

特に1Qは比較的売上高が下がる四半期であるにもかかわらずです

要因を見ていくと、

主力の国内が前年同期比+44%、北米が前年同期比+204%と大きく伸びたことが主な要因であることがわかります

原価率は1~2%上昇してしまっているものの、売上高の伸びに対する販管費の伸びが低く抑えられており、営業利益率が上昇したことも起因しています

今後に対しては、インフレや景気後退などの懸念点はもちろんありますが、フィギュアやプラモデル、その基となるコンテンツやIPといった日本と壽屋の強みは今後も十分に成長期待ができるものと思われます

現在の株価は割高?割安?

第1Q決算発表後はストップ高まで急騰しました

明日以降どの程度株価が上昇するかはわかりませんが、上記の通り成長期待が十分にできる実績だったこともあり、株価はまだ上昇余地があるのではないかと見ています

ここまで大きく上昇を継続してくると割高/割安の判断が難しいため、ご自身での判断の上で投資を行ってください

また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

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会社概要

証券コード/銘柄名:7809/㈱壽屋

設立年/上場年/上場市場:1996年/2017年/スタンダード

業種コード/業種:3800/その他製品

決算月:6月

事業内容:フィギュアやプラモデルを中心に企画および製造、国内外へ販売。特に自社IP(知的財産)製品が強み

売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円

23.6(会社予想):16,000(11.9)/1,800(▲23.0)/1,760(▲24.5)/1,222(▲24.6)

22.6:14,292(49.8)/2,337(136.7)/2,332(135.8)/1,621(138.4)

21.6:9,543(29.4)/987(332.2)/989(327.4)/679(801.9)

20.6:7,374(▲11.1)/228(▲16.1)/231(▲5.4)/75(▲45.2)

19.6:8,294(▲5.9)/272(▲60.0)/244(▲60.3)/137(▲67.2)

18.6:8,811(10.0)/680(43.9)/615(41.3)/419(67.1)

注意事項

※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください

記載の内容はあくまでも私個人の見解と情報収集によるもので必ずしも正確、適切な情報を保証しません

また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください

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