日本株/個別銘柄

【投資ポイント】8316 三井住友フィナンシャルグループ

ここでは、三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)について、

投資の参考にできる情報と視点を紹介します

SMFGについては高配当銘柄として、割高/割安の視点ではなく、配当利回り維持できるかどうかという観点からまとめています

各所に記載している数値は2022年11月執筆現在のものです

2022.11.14第1Q決算更新済

目次

高配当銘柄としての見解

現在の株価4,107円に対する2023.3期の配当金230円(2Qにて10円増配)

配当利回り5.0%

11月に入ってから株価が上昇していますが、それでもこの配当利回りで高配当銘柄の中でも高く、人気がある理由がわかります

ここで大事になることはこの水準を将来的にも維持(できれば増配)できるかどうかという点です

以下にまとめた内容により、2021.3期のように一時的な大幅減益の年は発生したとしても、

配当水準を維持するに足る利益を毎期稼ぐ力を十分に備えており、非常に安定的と結論付けられる銘柄です

高配当銘柄として長期保有される際は、短期的な株価に左右されず、持株の配当利回りとSMFGの獲得利益のみに注目する

「株価が安いな」と、配当利回りが高くなる水準になれば買い増すというスタンスをオススメします

ココが投資ポイント

 SMFGについての投資ポイントです

  1. 2018.3~2021.3期は4期連続で減収減益、金融緩和の悪影響続く
  2. 純利益は2022.3期実績7,066億円2023.3期7,700億円計画と回復
    2023.3期は上方修正
  3. 2023.3期第2Q実績:
    経常収益:29,169(48.4%)
    業務純益:7,260(15.2%)
    純利益:5,254(15.2%)
    単位:億円(前年同期比)
  4. 有価証券等の含み益(税抜)0.96兆円
    為替による含み益(税抜)1.18兆円
  5. 現在の円安&海外での利上げによる業績インパクトは?
  6. 2023.3期の会社計画値に対する現在株価のPER:7.9倍程度
  7. 2023.3期の配当額230円/株、配当利回り5.0%と高配当銘柄

これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・

投資ポイントの視点

  1. 2022.3期の大幅増益要因
  2. 高配当銘柄として純利益7,000億円水準が維持できるか
  3. 円安&海外での利上げによる業績インパクトを検証

これらについて見ていきます

視点①大幅増益&上方修正要因

2022.3期の純利益は2021.3期から37.8%増益

当初公表6,000億円からも17.8%上方修正

と業績が急に上向きました

要因は何でしょうか?

2022.3期業績を分解していくと、前期比と各四半期毎の数値で主なものでは、

  1. 金融事業での業務純益:689億円増
    合計:11,529
    1Q:2,671
    2Q:3,190
    3Q:3,195
    4Q:2,473
  2. 与信費用の減少:▲861減
    合計:▲2,744
    1Q:▲103
    2Q:▲164
    3Q:▲1,313
    4Q:▲1,167
  3. 政策保有株等の売却収入:1,165増
    ※単位:億円

です

このうち1と2は本業に関するものであるため、足元では本業の業績は回復していると見てとれます

ただし、2022.3期第4Qの業務純益の減少、与信費用が2022.3期第3Qから大きく積み増されている点が気になります

足元では不良債権が増えてきています(前期比19.8%増加

※与信費用:
金融機関が貸付の回収不能や回収の懸念などによって発生させる費用
返済されない、または、返済されない可能性が高い貸付を損失として費用にしたもの

3は一過性ではありますが、まだ政策保有株は多くあり、株価水準が大きく下がらなければキャッシュフローへのプラスにつながります

2022.3期第4Qは売却を進めたためか、第3Qからは大きく増加しています

3については、2022.3期第3Q末時点残高で「その他有価証券評価差額金」として約1.6兆円あります

※その他有価証券評価差額金:
売却しない間は、業績には直接影響しない株式などの評価差額
株価が上昇すれば金額が増え、下落すればマイナスになるもの

これは政策保有株などの税引後含み益が1.6兆円あり、売却さえすれば1.6兆円の利益が得られるということを示しています

2021.3期の約2兆円からは減少、また、2023.3期第2Qは1兆円を下回るところまで減少しており、売却を進めていることと足元の株価や債券価格の下落が大きな要因です

一方、2023.3期第2Q時点までで、為替換算やヘッジによる含み益は増加しており、2022.3期末よりトータル残高は増加しています

上記からまだ多くの含み益を有していることがわかり、今後の利益の底上げにも寄与します

本業(金融業)の回復のポイント:

  • 貸付等の利息収入は減少するも、株式等の利息配当金収入は増加
  • 手数料などの役務取引等利益は1,199億円と10%近く増加
  • 子会社以外の関連会社から得る収益は285億円と増加
  • 国内よりも海外での収益回復が大きい
  • 与信費用は2021.3期から861億円減少

国内の金融緩和継続で、貸付等からの利息収入の減少は今後も続く可能性もありますが、

その額は年々小さくなり全体業績へ与える影響も小さくなります

一方、「役務取引等収益」、「関連会社から得る収益(持分法による投資損益)」が伸びている点は注目すべき点です

コロナ禍により2021.3期は少し落としましたが、2022.3期はコロナ禍前より稼ぐまでに成長しており、SMFG内で最も成長が期待できる2分野です

これらは今後も長期的には伸びる可能性が高いと予想しています

次に、国内と海外の状況ですが、2022.3期はどちらも業績は回復傾向で、特に伸びが大きいのは海外です

リスクバランスという点でも海外比率を高くし、うまく海外成長を取り込めるかがポイントです

与信費用については、世界、国内それぞれの経済状況に大きく左右されてしまいます

この点は大型融資先の経営破綻などがない限り、一過性的な面が強く、

本業が不調でなければあまり気にしすぎないほうが良いです

追記:2023.3期第2Q実績の考察

2023.3期第2Qも1Qに続き、大幅な増収増益となりました

要因は、為替の好影響が大きいですが、貸出の増加と海外の金利上昇が寄与にて事業が堅調、持分法を適用するグループ会社の増益なども伴っており、本業も堅調なところは高く評価できます

グループ会社では、SMBC日興証券のみ250億円ほどの純損失となっており、前年同期比で大きく業績を落としました

他には政策保有株も売却を進めたことにより売却益も加算されています

第2Qまででは、外国債が金利上昇により大きく評価額を減少させており、売却分も含めると、有価証券合計で2022.3期末から6,700億円程度の含み益が減少しています

一方、為替は円安方向に大きく動いたことから同額以上の含み益の増加となっており、第2Q末時点での含み益も積み上がり、有価証券の含み益も含めた合計(税抜)で2兆円を超える含み益を保有しています

今後については、銀行グループは市況に大きく左右される面はありますが、貸出金額の増加および金利上昇を中心に本業が伸びているため、期待してよいと判断できます

視点②高配当のための利益維持

金融株の多くは高配当株として人気です

SMFGが先に「高配当銘柄としての見解」へ書いた配当金水準を安定的に保つために、

純利益7,000億円水準が1つの目安と言えます

過去の業績を見ていくと、

2013.3期から2022.3期までの10年間は、コロナ禍の2021.3期を除き、7,000億円前後の純利益を稼ぐことができています

また、2023.3期も現在のところ業績は好調で、通期計画も7,700億円へ上方修正が発表されています

視点の根拠①で書いた理由からも景気後退等の大きな要因がおこならない限り、今後もこの利益水準は安定的に稼げると予測できます

視点③円安&海外での利上げによる業績インパクトは?

個人的に書きたかったのはこの2点です

円安は、外貨建ておよび海外資産が多いメガバンクには、為替差益など円貨建て業績にはプラスに作用する点が多いです

これを示す1つの目安に2022.3期残高で「為替換算調整勘定」4,501億円と2021.3期末から約4,100億円増加しています

※為替換算調整勘定
円建て以外で保有する資産や負債、一部取引などを円貨に変換した場合に発生する項目
売買などにより実現しない限りは為替による税引後の含み損益のようなもの

2022.3期為替レート:122.41円/ドルでの換算であるため、現状を踏まえると2023.3期第2Qはこのレートはさらに円安方向になり、この項目は増加すると予想されます

ここで注意しておくべきは「円貨建て」の場合であり、海外投資家目線の「ドル建て」では、業績および配当利回りは低くなり、海外からの投資魅力は下がる点です

次に海外の利上げの影響ですが、これはプラスとマイナスの両面があり判断が難しいです

  • 長期的には海外収益は増加
  • 国内企業の海外子会社・拠点への貸付などは円貨金利ベースの場合も多い
  • 貸付などの原資となるドルやユーロなどの現地通貨の円貨ベースでの調達コストは増加
  • 保有の外債はその外債のベース金利が上がれば、債券価格は下落、評価額も下がる

長期的には金利が上がれば利息収入が増える

円貨金利(国内金利)ベースでの貸し出しの場合は、海外の金利が上がるだけではプラスにならない

ドルで貸し付ける場合はドルを調達しないといけないが、金利が上がると円安が進み、ドル調達コストが円貨ベースでは増加する

外債価格が下がり評価損が発生してしまう場合が出てくる

実際にすでに債権運用や評価損益では、マイナスインパクトが出てきており、外債の評価損益は大きなマイナスです

とこれだけを読むと「もしかしてマイナスのほうが多いんじゃない?」と思ってしまいます

現時点の金融株は高配当銘柄として長期保有の投資方針は、リスクバランスが取れていて良いとの判断です

また、何か動きがあれば順次更新していく予定です

他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら

個別株への投資の方法について興味あればこちら

現在の僕の投資の状況に興味があればこちら

会社概要

証券コード/銘柄名:8316/三井住友フィナンシャルグループ㈱

設立年/上場年/上場市場:2002年/2002年/プライム

業種コード/業種:7050/銀行

決算月:3月

事業内容:3メガバンクの1角、グループに三井住友銀や行SMBC日興証券など総合金融グループ

5年の経常収益/業務純益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:億円

  • 23.3(会社予想):-(-)/12,650(9.7)/11,200(7.6)/7,700(9.0)
  • 22.3:41,111(5.4)/11,528(6.4)/10,406(46.4)/7,066(37.8)
  • 21.3:39,023(▲15.0)/10,840(▲0.1)/7,110(▲23.7)/5,128(▲27.1)
  • 20.3:45,918(▲4.4)/10,850(▲9.0)/9,320(▲17.9)/7,038(▲3.1)
  • 19.3:48,044(0.6)/11,922(▲1.0)/11,353(▲2.5)/7,266(▲1.0)
  • 18.3:47,770(11.1)/12,038(6.3)/11,641(15.7)/7,343(3.9)

最後に

僕は日本の個別株への投資をメインにしています

また、その中でも成長性の高い株です

そのため比較的リスクは高めなものが中心です

これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています

その中で自分なりに分析して勝負する

時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、

そして、利益を積み上げることができたと思っています

投資はどうしても自己責任を伴うものです

どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです

なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです

ここまで読んでいただいてありがとうございます

一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!

注意事項

※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください

記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです

そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません

また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください

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