ここでは、関通について、
投資の参考にできる情報と視点、割高/割安かどうかを紹介します
各所に記載している数値は2022年10月執筆現在のものです
2022.10.14決算更新
目次
ココが投資ポイント
関通についての投資ポイントです
- 大きく分けて「物流サービス事業」と「ITオートメーション事業」を展開
- 楽天との資本業務提携、楽天が最大顧客
- キャノングループとも資本業務提携、倉庫管理のITオートメーションの伸張を図る
- 物流に関しては、今後の拡大基調に懸念が出ている
- 物流サービス事業は賃貸業に特徴が近く、ストック型で売上は積上式
- 同事業は売上減少リスクも比較的少ない
- 自社の新規物流施設が続々開業、新規取引獲得の余地が大きい
- 一方で満室近い稼働までは投資先行が続くため、短期的には業績が落ちる傾向
- 2023.2期第2Q業績:
売上高:5,107(▲0.1%)
営業利益:132(▲46.3%)
経常利益:123(▲47.6%)
当期純利益:76(▲50.9%)
※単位:百万円(前年同期比:%)
これらの投資ポイントから注目すべき視点として・・・
投資ポイントの視点
- 楽天との資本業務提携
- 物流のキャパシティ
- 収益構造
- ITオートメーション事業
これらの視点を順に見ていきます
視点①楽天との資本業務提携
関通の位置づけとして、EC流通大手3社の中でも最大手の楽天と資本業務提携できている点は大きな強みです
楽天が関通株を5%近く保有しています
おそらく楽天は成長するEC流通量のすべてを自社施設で支えることは難しい
そのため、関通などへの外部委託をしており、今後の成長スピードを加味するとこの流れは続くと予想されます
一方、リスクでもあります
楽天から提携が解消されるなどのことがあれば、楽天市場等へ出店している取引先含め顧客離れが起こる可能性が考えられます
大手企業に大きく依存していることはこの点で最もリスクでもあります
視点②物流のキャパシティ
成長のためには新規顧客、新規取引の獲得が必須です
その獲得のためにキャパシティが問題となります
この点、関通は2021年に2施設、そして2022年に3施設開業(予定)とキャパシティとしてもかなりの余地があります
当面は問題ないと言えます
視点③収益構造
物流サービス事業はストック型ビジネスに近く、新規顧客を獲得できると売上が継続的に発生していきます
新規顧客が継続的に獲得でき、解約率が低ければ売上は逓増的に成長します
収益構造からも業績が崩れにくいことも1つの魅力と言えます
ただし、既存顧客の物流事業に関する売上高が減少すれば、関通の売上高も一定程度減少するため、この点は注意が必要です
また、直近は景気後退局面に入っており、今後の物流量がこれまでほど成長していくかはモニタリングしていく必要があります
ストック型ビジネスのメリットや伸びる理由についても興味がある場合はこちらを参照ください
視点⑤ITオートメーション事業
直近の2022.2期の決算資料では、
物流サービス事業:売上高95.6億円、利益6.1億円
ITオートメーション事業:売上高4.3億円、利益1.2億円
売上で比較するとITオートメーション事業は小規模ですが、利益率が高く利益貢献としては大きいです
これはITオートメーション事業が大きく成長すれば、全体の利益が飛躍的に成長することを意味しています
ITオートメーション事業の今後の伸びを予想することは難しい面がありますが、
自社でのノウハウと今回キャノンITソリューションズ(キャノン子会社、以下キャノンITS)との資本業務提携(キャノンITSが関通株約1.2%取得)が大きな期待となります
キャノングループの知名度は言うまでもなく、キャノンマーケティングジャパン(キャノンITSの直接の親会社)はITソリューション事業でも実績が多くあります
関通が提供するITサービスや製品ソフトの機能と信頼の向上による売上成長を期待したいところです
補足:2023.2期第2Qの実績考察
2023.2期第2Qは、
売上高:5,107(▲0.1%)
営業利益:132(▲46.3%)
経常利益:123(▲47.6%)
当期純利益:76(▲50.9%)
※単位:百万円(前年同期比:%)
前年同期比で売上は同水準も大幅減益と厳しい状況です
年間計画では、
売上高:+18.9%
営業利益:+29.3%
当期純利益:+31.2%
と大幅な増収増益としているため、達成が赤に近い黄色信号が点ります
第2Qの売上が伸びず、大幅減益の要因ですが、
会社説明では、前期の2022.5期第1Qがコロナ特需により、売上と利益が伸びた、
一方で、2023.2期は中国でのロックダウンなどの物流の停滞などがあり、伸び悩んだことを原因に挙げています
この点は会社の説明を信用するならですが、実績から見る限りは納得できる原因です
ただし、営業利益▲46%と大幅な減益が今後の不安材料です
この原因を見ていくと、
2022年2月に東京主管センター(物流施設)、2022年8月には兵庫県尼崎市のD2CⅡ物流センターの開業と続き、開業による費用および賃料負担などが重荷となったことが大きいです
もちろん、本物流施設が満床でフル稼働していれば負担する賃料以上の収入が入ってきますが、まだフル稼働に至っていないため、費用先行の状態だったと推測します
会社説明では、通常フル稼働までに1年程度は要するため、2022年はある程度投資・費用先行が否めない状況です
また、今期に入って物価高騰による影響も大きいと見られ、販管費なども増加基調となっています
では、今後の業績についてですが、
今期は2022年12月に兵庫県尼崎市に関西新物流センター(延床面積:4,300坪)の開業が控えています
2023.2期の計画達成は、東京主管センター含めた3施設が早期に新規顧客獲得ができ、満床フル稼働に近づけるかどうか、にかかっています
これは上期の実績と現況から判断する限り2023.2期は厳しいと思われます
ただし、今後は3施設の開業による増収が期待できます
そのため、今期が計画未達となったとしても、2024.2期の業績には期待したいところです
現在の株価は割高?割安?
会社計画に対する現在の株価のPER:8倍程度まで下がってきました
今回も10月3日に第2Qの業績予想を発表して株価がすでに下落しているため、決算発表後の株価変動は限定的と思われます
しかし、2023.2期通期の業績計画の下方修正が出ればさらに下がる可能性もあり、現在はまだ投資できる状況ではないとの判断です
2023.2期の業績が現在の計画を下回れば、という前提条件を付けますが、
2024.2期は増収増益計画となる可能性は高く、現在の株価下落が落ち着いた本決算発表前までの底値付近での仕込みは、良いタイミングになるのではないかと見ています
また、何か動きがあれば順次更新していく予定です
他の個別銘柄への投資ポイントについても興味があればこちら
個別株への投資の方法について興味あればこちら
現在の僕の投資の状況に興味があればこちら
会社概要
証券コード/銘柄名:9326/㈱関通
設立年/上場年/上場市場:1996年/2020年/グロース
業種コード/業種:5200/倉庫・運輸関連業
決算月:2月
事業内容:物流支援サービス事業とITオートメーション事業が主力、楽天やキャノンGとの資本業務提携により物流に特化した多角化を目指す
5年の売上高/営業利益/経常利益/当期純利益(伸び率:%)単位:百万円
- 23.2(会社予想):12,002(18.9)/943(29.3)/902(31.1)/608(31.2)
- 22.2:10,099(6.0)/729(74.5)/687(79.4)/463(63.9)
- 21.2:9,530(30.5)/418(43.5)/383(50.0)/283(66.0)
- 20.2:7,301(12.9)/291(129.9)/255(145.8)/170(117.0)
- 19.2:6,468(23.1)/126(▲21.1)/103(▲25.5)/78(40.4)
最後に
僕は日本の個別株への投資をメインにしています
また、その中でも成長性の高い株です
そのため比較的リスクは高めなものが中心です
これまで書いた記事もリスクは高めだと認識しています
その中で自分なりに分析して勝負する
時には損失が先行することももちろんありますが経験値としては積み上げられ、
そして、利益を積み上げることができたと思っています
投資はどうしても自己責任を伴うものです
どうせなら自分自身で調べてみたりして信頼できるものへ投資すべきです
なぜなら失敗してもそれが経験になり将来の投資につながるからです
ここまで読んでいただいてありがとうございます
一緒に株式投資を盛り上げていきましょー!
注意事項
※投資判断はご自身の責任において行うようにしてください
記載の内容はあくまでも僕個人の見解と情報収集によるものです
そのため、必ずしも正確、適切な情報を保証しません
また、データが古くなっている場合もありますのでご活用の際にはご注意ください