勉強会 投資

企業分析②会社を知る(事業の特性)

①で会社のことを知るの1つ目ということで、会社の基礎となる売上/原価/販管費についての理解を深めていただきました

この記事を最初に見られている方はぜひ

企業分析①会社を知る(売上/原価/販管費とは?)

も合わせてご参照ください

①を通じて会社の売上や原価がどのようなものかを知っていただけたと思います

そこからもう一歩深めていくために、「会社がどのような事業をしていて、その事業にはどのような特性があるのかを知る」ことはとても重要になります

ここではあくまで「企業分析」をテーマにしているため、企業分析目線で見ていきます

そうすると…

事業(売上)の特性は大きく2つに分かれます

  • ストック型ビジネス(収益)
  • フロー型ビジネス(収益

言葉だけでもなんとなくイメージしていただけると思いますが、

例えば身近な不動産(住宅)でいうと、

ストック型ビジネス → 住宅の賃貸事業、毎月家賃が入ってきてそこから維持費や税金などを差し引いて利益を出す

フロー型ビジネス → 住宅の販売事業、売って入ってきた収益に対して、その住宅を建設・販売等にかかった費用を差し引いて利益を出す

です

「定期的な収入」か「一度または数度のみの収入」かの違いです

これだけ見ると定期的に入ってくる収入のほうが良いように思いますが、上記の不動産の例を見てもらうと、

フロー型ビジネスは1つの収益が大きい一方で、ストック型ビジネスは1つの収益が比較的小さく、その積み重ねが必要となります

例えば、1億円で住宅を売ると考えた場合、同じだけの収益を得ようとすると、家賃が40万円/月で賃貸した場合には年間で480万円、1億円得るには20年以上かかる計算になります

これらはどちらが良いという単純なものではなく、それぞれの特性を知り、そのうえでその会社の事業性を理解し、成長性や安定性などを判断していくことが重要です

まずはストック型ビジネスから見ていきます

目次

ストック型ビジネス

ストック型ビジネスの代表例:

不動産の賃貸収入、保険、ネットフリックスなどのサブスク型収入、Oisixなどのような定期購入収入など

ストック型ビジネスのメリット・デメリットを挙げてみると…

メリット

  • 収益の持続性が高い
  • 景気後退局面に比較的強い
  • 継続的な営業の必要性が少ない
  • 業績見通しが立てやすい

デメリット

  • 収益化/成長に時間を要する
  • 仕組み作りが難しい場合も多い

次にフロー型ビジネスを見ていきます

フロー型ビジネス

フロー型ビジネスの代表例:

不動産の販売、飲食店や小売店、メーカーなど

フロー型ビジネスのメリット・デメリットを挙げてみると…

メリット

  • 短期的に大きく伸びる場合がある
  • ブランド化などによる付加価値の要素が大きい

デメリット

  • 収益が不安定になりやすい
  • 好不況の影響を受けやすい
  • 営業を続ける必要がある

投資と事業の特性

投資は長期・短期などそれぞれの目的などにより投資のスタイルが違います

その投資スタイルに合わせて事業を選ぶという考え方も大事になります

例えば、長期でキャピタルゲインを狙うのであれば、リスクリターンの関係から、ボラティリティの大きいフロー型ビジネスよりも、持続性と安定的成長を期待できるストック型ビジネスを展開するほうが良いとも判断できます

また、ほとんどの会社はストック、フローのどちらか一方のビジネス形態ではなく、両方の特性を持っていることが多いです

その中でストックが主体になるのか、フローが主体になるのか、フローとストックが一体化しているかなど様々なビジネス形態があります

もちろん実際は、この点だけではなく、事業自体の魅力やPER、トレンドなどを総合的に判断する必要がありますが、事業の特性を知ったうえで投資を検討していくことは大切です

投資を検討する際にその銘柄がどんな事業を展開しているか、その事業にはどんな特性があるかを知っておくようにしてください

なお、別の記事にて僕なりの個別株の選び方をまとめていますので、参考にしてください

最後に

「事業を知る」ということで、事業の特性を大きく2つに分けて、ストック型ビジネスとフロー型ビジネスについて簡単にまとめました

もちろん事業の特性はこの2つの区分だけではなく、製品の販売なのかサービス提供なのかやBtoBなのかBtoCなのか、市場の成長性はどの程度見込めるか、市場シェアはどの程度か、競争力の源泉は何か…など挙げていけばキリはありません

中長期で投資をする場合は特に、その銘柄の展開する事業の成長性や安定性をどう分析し、将来へ期待するか

これらのことは自己資本比率やROEなどの一般的な指標だけでは表れてきません

自分自身で調べ、分析し、その銘柄の将来を思い描き、それを具体化していく

この作業がとても重要です

ファンダメンタルズ分析で失敗する典型的な例は、本などを読んでうのみにし、指標などの定量面だけでその会社の将来性や安定性に期待してしまうことです

これでは勝てません

勝つには人一倍の努力と、ほとんどの人が気付いていないことを見つけ出すことが大事です

独り言

本題からは逸れますが、2点お話があります

1つは、最近の楽天に関するTwitterで話題となったことです

楽天Gで利回り12%の社債が発行されることがニュースとなりました

既に多額の有利子負債を抱えており、モバイル事業への投資もまだ多額の費用が必要と見込まれていることも相まって、「楽天Gは大丈夫?」となり、そこから根拠のないような

「楽天証券から配当金の入金が遅れている」などが話題となり、楽天Gだけではなく楽天証券や楽天銀行までもが潰れるのでは?という話題です

ここで個人的に思ったことは、楽天Gについて懸念を抱くことは理解できるものの、楽天証券や楽天銀行について、こんなことは財務を調べるなり現状を理解していれば冷静な判断ができるはず

リツイートや拡散などしている人は悪意があるか、または、無知すぎるのだろうということです

Twitter上で「投資家」を名乗っておきながら悪意であっても、無知であっても、根拠のない情報を拡散するということは投資のリテラシーの低さを感じざるを得ません

大事なことは、うわさや周りに流され、不安になるだけなのではなく、

「自分の目で見(調べ)、自分の意志で判断する」

ということです

これは投資家にとって最低限のリテラシーではないでしょうか

2つ目は、投資の目的です

投資 = お金儲け

この図式になっている方が多いのではないでしょうか

もちろん資産形成などは、言い換えれば「お金を増やす(儲ける)」でもあります

お金を増やす(儲ける)こと自体が悪いと言っているわけではありません

ただ、投資の目的が「お金儲け」のみであることは誇れることでしょうか

もし、子供に対して投資のことを伝える際に「お金儲け」のためにやるんだよと伝えるのでしょうか

子供たちに自分が投資をしている理由を「お金を儲けるため」と説明するんでしょうか

それは子供たちに対して果たして誇れる投資と言えるのでしょうか

あくまで個人的な一意見ではありますが、

投資には意義を持ち、その意義を自分の代わりにその会社へ託(投資)して、その会社が実現して成長していく、

そして株価が上がりその恩恵を享受する

これが僕の考える投資です

「社会を何かの形で良くしていくための投資」

これが子供たちに対しても誇れる投資の意義だと考えます

みなさんの投資の目的や意義とは何でしょうか

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